トムが嫌われなかったとしたら - みかん絵日記の感想

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みかん絵日記

4.504.50
映像
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ストーリー
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キャラクター
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声優
5.00
音楽
5.00
感想数
1
観た人
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トムが嫌われなかったとしたら

4.54.5
映像
4.0
ストーリー
5.0
キャラクター
4.5
声優
5.0
音楽
5.0

目次

動物好きの人が一度は思い描く夢の世界

動物たちが人間の言葉を話すことができて、自由にコミュニケーションをとることができたら・・・。動物が好きな人が一度は考える夢であろう。テレビ番組でも、動物に人間の言葉をナレーションして楽しませる番組は多く存在する。ただし、人間が好き勝手にセリフを付けているだけで、実際に動物がそう感じているかはわからない。また、野生や野良の動物に話しかけるということもよくあることである。ペットの飼い主もペットに話しかけるという場面は多いことであろう。ただ、これらいずれもやはり動物たちとコミュニケーションが取れているわけではない。こちらの意思はもしかしたら動物たちには伝わっているのかもしれないが、少なくとも、動物側からこちらへの正確な意思は伝わらない。これはちょうど、「三丁目のタマ・うちのタマ知りませんか」というアニメの状況とよく似ている。この作品では犬や猫は人間の言葉を話すが、それは動物たちだけで通じる言葉としての意味合いでしかない。人間も動物たちに話しかけてはいるが、動物たちは基本的に人間語は理解していない。だから、人間の意思が伝わることもあるし、伝わっていないこともある。人間にはそれ自体はわからないから、動物たちの行動でそれを推測する、ということになっている。しかし、我々が思い描いているのは、そのような世界ではない。動物たちが人間語を理解し、動物たちの意思も正確に伝わってくる世界。それを思い描いているのである。動物たちがしゃべる世界。すべての動物ではないが、それが実現した世界が、本作品「みかん絵日記」である。

動物がしゃべることは忌み嫌われるのか

しかし、本当に実現したら、そのような動物は嫌われてしまうのだろうか。本作品中でも、最初の飼い主であるタツゾウじいさんの家族からは気味悪がられて「化け猫」とまで言われてしまっている。確かに、常識では考えられないことであるから気味悪がるのも無理はないのかもしれない。その昔、双子が忌み嫌われていた時代が日本にも存在するが、それに似たことなのかもしれない。また、タツゾウ爺さんが住んでいた地域に、しゃべる動物の伝説などがあったりするのかもしれない。そういう想像を働かせるのも、面白い。いずれにしても、タツゾウじいさんの家族がトム(みかんの当時の名前)を嫌ったために、次の飼い主である草凪家にやってくることになるわけである。

トムがタツゾウじいさんの家族に嫌われなかったとしたら

では、タツゾウじいさんの家族にトムが嫌われなかったとしたら、トムは草凪家にやってこなかったのだろうか。これもいろいろなパターンが考えられるところであろう。真っ先に考えられることは見世物にされることであろう。しゃべる猫、おまけに酒を飲む猫である。珍しがられるのは目に見えている。その場合、間違いなく短い期間で家族のもとを離れることになるであろう。見世物にされた、という傷を心に負って。そうなると、吐夢との遭遇も苦しい展開になるかもしれない。人間自体を嫌いになってしまうかもしれないから。ただ、それでも吐夢に、今までにない何かを感じて、草凪家に来るような気がする。また、見世物にされないパターンも考えられる。タツゾウじいさんがかわいがっていた猫だから、同じように面倒を見よう、とするパターンである。この場合、しばらく家族と暮らすものと思われる。しかし、やがては家族のもとを離れて野良になると推測する。タツゾウじいさんとの暮らしと違っていることを憂いてか、家族が優しくしてくれすぎることを憂いてか、はたまた、今の生活は満足しているがそれではダメだという何かを感じたのか、いずれにしても家族のもとを旅立っていく気がする。どういう経緯をとったとしても、やがては草凪家のもとに、吐夢のもとにやってくる運命なのだと思う。

トムのしゃべる能力は才能なのか

作り物と言ってしまえば元も子もないが、トムのこの人間語を話す能力は才能なのであろうか。現実においても、ある決まったフレーズを話すことができる動物は存在する。しかし、意思の疎通をすることはできない。トムは意思の疎通までしっかりできる設定である。この意思の疎通を含めたしゃべる能力は息子のこりんごにも遺伝しているとみることができるので、やはりトムの才能と言えるのではないだろうか。トムは天才なのである。だからやがて文字も書けるようになってくるわけである。ただ、文字を書くというのは現実にはほぼ無理であろうが。書けることで、ストーリーの幅は広がってくる。吐夢の気持ちを代弁するときに置手紙という作戦が使えるからである。これによって、騒動を巻き起こすスチュエーションのバリエーションが増えるのである。主に吐夢の恋愛関係で騒動が巻き起こることになるのだが、みかんが時にキューピッド役になるエピソードもあるから面白い。天才であるだけでなく、おせっかいでもあり心優しい猫。それがトム、今の名前はみかんという猫なのである。

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