SFで描く素粒子の世界からのメッセージ
「俳優・木村拓哉」の魅力
賛否両論のドラマだったようだけど
私的にはド・ハマりしたドラマだった。
ポイントはたくさんあるけど
何よりもまずは、主演のキムタクについて語りたい。
私はこのドラマで初めて、
「俳優・木村拓哉」を感じた。
「木村拓哉はどの役をやっても「キムタク」だから・・・」
という見方は結構聞く話。
私も今までは比較的同感だった。
キムタク主演のドラマは結構見てきて、
それぞれの役どころに微妙な差異はあれど、
やはり「キムタク」の枠を超えたと感じる作品に出逢えることはなかった。
でも、このドラマは違った。
天才物理学者の「レイジ」と、
アンドロイドの「ロイド」の二役なのだけど、
特にこの、「レイジ」役に「役者・木村拓哉」を感じた。
物理学においては天才、でも、なんかいちいちザンネン、と
生徒たちからも評される「レイジ」。
理系の天才にありがちな、
オタク臭と独特の喋り方、振る舞い、雰囲気・・・
このキャラクターの演技が絶品!
私自身がそういうタイプにときめいてしまうからなのか・・・笑
そこに、いつもの「キムタク」を感じることはなかった。
キムタクがこんなオタクキャラも演じられるんだ・・・!って、
すごく嬉しかったし、そのリアルさにときめいたし、
「レイジ」という役柄の魅力をふんだんに味わわせてくれて感激だった。
そして、アンドロイドの「ロイド」役も、
ストーリーのダイナミックさに見過ごされがちだと思うけど、
人間「レイジ」とは違う、機械の質感がとても演じ分けられていて
その演じ分けって、結構技量がいるんじゃないかと思った。
身体能力の高さもすごく感じた。
というか・・・
改めて思ったのだけど、
日本のトップアイドルの「キムタク」は
確かに一目置かれてる側面もあるけど、
「キムタク」ゆえに、
本来の技量とか才能が正当に評価されていない、
という側面もあるんじゃないかと。
これは常々うっすら感じていたことなんだけど。
もしかしたら、他の人だったら「スゴイ」と評されることも
「キムタク」というある種の特殊性が、それを「スゴイ」と感じさせない、
もしくは、「キムタクというトップアイドル」というイメージが
木村氏本人の純粋な技量や才能そのものを感じることを邪魔してしまう、
そんな作用があるような気がする。
まあ、そういうイメージ諸々含めての
「芸能人・木村拓哉」なのだろうから
それでいいんだろうけれど。
ともあれ、私個人としては、
いつものイメージや先入観に左右されずに、
「俳優・木村拓哉」を純粋に楽しめたことが
とても嬉しかった。
人もモノも同じ
私はこのドラマの世界観も、とても好きだった。
想いは素粒子
人の想いは時空を超える
琴線に触れるフレーズがたくさんあった。
私は、エネルギーの素粒子の世界が大好き・・・というか
日々、その粒を感じながら生きていることが何よりも幸せなので
その領域を刺激してくれるのは、無条件に嬉しい。
なおかつ、宇宙工学的なエネルギーや世界観というのも
嬉しいポイントだった。
専門的なことはまったく分からないけど、
ロジカルな体感がとにかく好きなので・・・。
ならばSFものが好きなのか、というと、実はそうでもない。
たいていのSFものは、どちらかというと見ないことの方が多い。
なんでだろう・・・?と、改めて感じてみると
一般的なSFものは、素粒子の粒を感じないからだ。
もっと粗い粒で構成されているものがほとんどだからだ。
でもこのドラマは違った。
SFものだけど、いのちの素粒子の粒が感じられたのだ。
人も、モノも、同じ。
姿カタチは違うけれど、いのちの素粒子の世界で見たら同じ。
それが、このドラマの根底に流れているのを感じた。
その深いメッセージ性は、是非、
リアルに体感して見たいところ。
「死」というものの描き方
もうひとつ、このドラマの演出で好きだったことがある。
敵を倒すときに彼らは
「原子還元処理を実行する」
といって、葬るのだ。
人間や動物の世界観で言う「殺す」「死滅させる」ことを
素粒子の言葉で表現するとそうなる。
これがすごく嬉しかった。
「原子に還す」ということは消滅ではない。
すべてのいのちの素の状態に戻すこと、
これが「死」ってことだと思うし
「死」は「再生」の準備だから。
この死生観は、私個人にとっても
生きる動力そのものと言ってもいい。
「死」は「生」と同じもの。
素粒子に還ること。
素粒子の世界は、
いのちが還る場所でもあり
いのちが生まれる場所でもある。
私はあまりSFもののドラマや映画を見ないので
もしかしたら他でもこういう表現はあるのかもしれないけど
少なくとも私としては
今まで見てきた人間ドラマの中で、
この死生観をダイレクトな素粒子の言葉で表現してくれているものに
出逢ったことがなかったので
それだけで感動してしまった。
2013年ならではのメッセージ性
2013年に放映されたドラマだけど、
なるほど2013年らしいな、と今なら思う。
2012年の12月21日はマヤ歴の終わり、とも言われ
確かに2013年明けてからのシフトはまだ記憶に新しい。
地球全体の集合意識のエネルギーシフトも
2011年の3.11の後押しを受けて、一気にシフトアップした。
私も2013年は、それまでの流れが一変するような
シフトチェンジが起きたし、
自分の中の素粒子領域が開いた時期でもあった。
ある種いきおいのあるうねりを当時感じていたけど、
このドラマでもそれを彷彿とさせるようなメッセージが
ふんだんに盛り込まれている。
まるで、ちょっと強めのマッサージを受けるような、
そんな強さも感じる。
リアルタイムで見てたときはその真っ只中にいたから
さほど実感なかったけれど、
今振り返ってみると、
時代と自分とドラマがリンクしているのがよく分かる。
このドラマに惹かれた人や反応した人は、私生活でも、
何かしらのシフトチェンジがあったんではないだろうか。
人それぞれ人生プログラムは違うので、
人の意識に働きかけるような、このテの内容のドラマや作品は、
評価が分かれるのも当然かもしれない。
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