ベン・ハーとキリストという大きな存在 - ベン・ハーの感想

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ベン・ハーとキリストという大きな存在

4.84.8
映像
5.0
脚本
4.6
キャスト
5.0
音楽
4.7
演出
4.8

目次

悲惨な奴隷制度

現在では奴隷のような制度は廃止されているため、過去に合った奴隷制度でどのような事が行われているかわかりません。「ベン・ハー」では、人間なのに物のように扱われてきた奴隷達を、感じる事ができました。特に、船の中の漕ぎ手は全て奴隷を使い、エンジンのように休む暇もなく働かされ、使いものにならなければ、簡単に廃棄される奴隷の悲惨さは、なんとも言えませんね。

人を奴隷として、物のように扱えるのはどうしてなのだろう?と考えると、やられた人の気持ちになれないということに、他ならないのではないでしょうか?もしも、奴隷にやった事と同じような仕打ちを自分が受けたらと、想像したのなら、そのような悲惨な目に合わなかったかも知れないと思います。この事は、現在の人間にもつながり、相手の立場となる想像力があれば、事件や暴力が少なくなるのでは?とも思いました。

 

キリストの出現

キリスト教の信者ではないけれども、キリストが出現する場面は、とてもインパクトがあり「ベン・ハー」の中でも、特に印象に残ったシーンでした。水が欲しくて喉が渇ききっている主人公のベン・ハーに、キリストが水を差しだします。キリストの顔は出ませんが、顔が出ないという演出の効果によって、キリストの神々しさを感じさせてくれる場面でした。さらに、その横にいた乱暴な兵士も、キリストをみると、たじろぎ何も言えなくなってしまうのです。神を神らしくする表現よりも、回りの人々の変化の描写したことで、効果的な描写となっています。

 

 理不尽な罪

奴隷というだけでも、理不尽さを感じますが、この物語には、さらに理不尽さが付きまといます。ベン・ハーは、貴族の地位を持っていた人物でしたが、ベン・ハーの家の瓦が総督の上に落下してしまい、ベン・ハー一家は破滅へと導かれていくのです。不慮の事故というべきものなのに、それによって母と妹までも、罪に問われるのは見ていても心苦しく思いました。特に、母と娘が囚われてしまう牢獄の酷さには、驚きを隠せません。あの最悪の環境の牢獄で、死ぬことも許されず生き続けるなんて、考えるだけでもぞっとします。今の時代にも、多くの不満はたくさんあり、理不尽な事はたくさんありますが、この時代の奴隷や牢獄に比べたら、雲泥の差と言えるのではないでしょうか?人間は、時代と共に、技術の進歩をし続けますが、心やモラルの面でも、進歩し続けているのではないかと感じます。今の若者は、なんて言葉をよく使う方がいますが、若い人達によって、人は進化しているのではないでしょうか?

 

チャールトン・ヘストンという名優

「ベン・ハー」の主人公はチャールトン・ヘストン。今は亡き名優で、ベン・ハー以外にも、十戒や猿の惑星など、日本人にもなじみ深い作品に多く出演しています。チャールストン・ヘストンは作品の中でも、とても存在感があり、虐げられた者の気持ちが彼の表情や仕草伝わってくるように感じられますね。また、体格的にもとても堂々とした男らしい風貌で、たくましさと正義を表現しており、強い正義のヒーローにぴったりです。

 

CGのない時代に作られた作品

「ベン・ハー」が製作された時代は1959年、今から50年以上も前です。その当時は今のように、CGがないので映画の製作は大変な事だったと思います。たくさんの人達を集めた場面は、全てエキストラによって作られていると言う事です。特に、メッサラと争う二輪戦車での競争シーンでは、CGにはない緊張感が溢れています。競争する音と、二輪車をアップにする描写は、まるで自分が競争しているような気持にさせてくれました。

メッサラとの勝ち負けだけが、この競技の狙いではなく、妹と母親の居場所がわかるという意外な事実には、ハッとさせられます。勝ち負けの行方で、観客を引きつけておいて、違う方面の問題を投げかけているのです。

 

キリストを知ることにつながる

「ベン・ハー」の中での主人公は、もちろんベン・ハーですが、台詞もないのにとても気になる存在が出てきます。それはキリストです。「ベン・ハー」という波瀾万丈の人生を送っている中の重要なポイントと言えるでしょう。最後の場面で、キリストが十字架を背負い、倒れながらも階段を上って行くシーンは、心にせまるものがありました。キリストの役というのは、難しいと思います。他の映画作品でも、キリストの役を見ましたが、太って品のない人物が演じていたせいが、とてもキリストに見えませんでした。「ベン・ハー」のキリストは、少しの部分しか出演しなく、また台詞もほとんどないとけれど、気高い雰囲気を感じさせるイエス・キリストです。ちなみに「ベン・ハー」の原作の副題は「キリストの物語」だそうです。

 

ベン・ハーの構成について

ベン・ハーは一つの作品ですが、構成がわりとはっきりと区切られています。貴族であったベン・ハーが、船に乗せられて奴隷となり、二輪車による競争、母と妹の再開、キリストによる苦しみからの解放。これらのお話がとてもきっちりと書き上がっているせいか、お話の流れとしては、スムーズに展開していないように思えます。あまりにも目まぐるし過ぎる展開でした。

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