「Mr.インクレディブル」との比較
「Mr.インクレディブル」の影響
家族というところにスポットが当たっている部分、ヒーローという設定、とても「地球防衛家族」「Mr.インクレディブル」の両作品は見た目の類似点が多いです。このアニメのタイトルを見て、すぐ「Mr.インクレディブル」を思い浮かべたくらいです。日本人によって制作された「Mr.インクレディブル」といえるかもしれません。
そして、家族構成で活躍する主要メンバーも両作品は同じです。お父さんにお母さん、お姉さん、弟さんという図式が似ています。「Mr.インクレディブル」においては、もう一人、赤ちゃんがいますけど、ストーリーの本筋にはあまり絡んでいないので、この場合は除きます。
また、それぞれの登場人物の性格という部分でも、とても似ているように思えます。似ているだけに、同じ部分と違う部分を比較することで、面白い発見があるのかもしれません。
お父さんの比較
どことなく頼りない、頼りなく描かれているお父さんはイメージ重なる感じが強いです。
「Mr.インクレディブル」の父親はバリバリ肉体派、昔の栄光やヒーローとしての満たされない自分自身と葛藤して、思い悩んでいます。
「地球防衛家族」の父親は、オタクで頭脳派、控えめな性格で思っていることを表に出せないようです。そして、問題に対して、棚上げして直視しない点も彼自身が抱える問題のようです。
肉体派と頭脳派、極端に間逆の部分もあるのが印象的に感じます。
お母さんの比較
母親において、それぞれの作品で性格が全然違うように見えますが、類似点を見出すことができます。
家族というチームで、中心的な役割を担っているのはお母さんなのではないでしょうか。家族全体を見渡し、リーダーシップを発揮しているのは母親なのだと思うのです。リーダーシップの取り方は全然違うように感じますけど、家族の中心で、気配りや指示指導をしている役割を担っているように感じます。
ただ「Mr.インクレディブル」の母親は専業主婦、「地球防衛家族」の母親は、バリバリのキャリアウーマンと、父親と同様に極端に間逆の部分もあります。
お姉さんの比較
どちらの作品も思春期真っ盛りで思い悩んでおり、とても印象が重なります。ただ恋愛という要素においては、「Mr.インクレディブル」の姉はボーイブレンドが登場します。しかし「地球防衛家族」の姉は、恋愛そのものに興味が薄いようで、全く間逆な部分です。
弟という大きな存在
どちらの作品も元気いっぱいのワンパク小僧で似ています。弟さんのイメージが、もっとも印象が重なる感じが強いのではないでしょうか。しかし、逆の部分も見付けることができました。それは、それぞれのタイプにあるように思います。「Mr.インクレディブル」の弟はスピードタイプ、「地球防衛家族」の弟はパワータイプといった感じです。逆という項目ではありませんが、明らかな相違点として考えられます。
家族の仲
「Mr.インクレディブル」では、問題を抱えてないわけではありませんが、それでも家族愛は強く描かれているように思います。
「地球防衛家族」においては、冒頭から離婚届が出てくるほど、家族仲が悪く描かれています。
アメリカの作品である「Mr.インクレディブル」と、日本の作品である「地球防衛家族」で描き方や家族の構成など大きな違いがあり、面白い部分だと思います。アメリカと日本、家族観の違いを楽しめます。
家族仲が少しずつ改善していき、その様子が「地球防衛家族」の本筋といえるでしょう。
「地球防衛家族」は離婚率の上昇、虐待や育児放棄という項目を暗に問題提起しています。問題は投げかけられていますが、明確な答えには触れてないような気がします。
そのことで、少し中途半端な感じが否めないように感じます。
終わり方
両親の問題は大きく、子どもへの影響の仕方なども描かれているように思います。
親次第という部分が、このアニメ作品で訴えたいことなのでしょうか。父親も母親も、ダメ親として描かれていますよね。
息子に名前を呼び捨てされ、お父さんやお母さんと呼ばれていないことが代表例だと思います。そして、身勝手な母親と、目の前の問題から逃げる父親という個性にも表れています。
そして、悪い夫婦関係から、傷つき振り回されてしまう子どもたちの描き方は妙にリアルでした。
ひょっとしたら、原作者や脚本家の方の幼少期が反映されているのかもしれません。
地球防衛という部分では、冒頭から成長がみられます。しかし、夫婦関係や家族関係の修復という点においては、あまり解決されずに終わってしまいました。瞬間的には、心はひとつになっている場面もあります。しかし、良い方向に向かっていくイメージが持てないんです。
そこが最後に、消化不良に陥ってしまう部分です。着眼点は良いし、発想力もすごいと感心させられました。しかし、もっとも重要な部分が抜け落ちてしまっていることで、総合的にも勿体ない出来栄えになっているように思うのです。
最後に神谷明さんって、こういう役の声優もできるのだとビックリさせられました。イメージもハマっており、違和感ありませんでした。
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