OVA単作1話のみであることが残念な作品 - 究極超人あ~るの感想

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究極超人あ~る

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OVA単作1話のみであることが残念な作品

5.05.0
映像
5.0
ストーリー
5.0
キャラクター
5.0
声優
5.0
音楽
5.0

目次

綿密な取材で制作されている

鉄道マニアが歓喜するアニメ作品といえるでしょう。そして鉄道の駅、スタンプ集めということが主軸に置かれた物語構成であるのに、ここまで面白い作品に仕上がるものなのか、と感動するレベルだと思います。

作風そのものはギャグアニメなので、感動して涙する作品ではありません。しかし、綿密な取材の元に制作されていることは明らかです。鉄道の経路、時刻表、それぞれの駅の特徴など描かれていることは事実を元に制作されています。無人駅まで登場していることから、原作者なのか、アニメ制作スタッフが、相当の鉄道マニアであることが伺えます。

JR東海の飯田線にスポットが当たっており、非常に歓迎された作品のようです。このアニメ作品を観た後に、インターネットのフリー百科事典、ウィキペデアの「究極超人あ~る」、OVAの項目の記載を読むと、色々と制作にまつわる情報が書き込まれているので楽しめます。

鉄道マニアだけではなく、地元住民、そして近隣の方も馴染みの駅名や路線名、地名が登場することで親近感が増します。そして、そういった要素があることで、アニメ作品の中に没頭できるのも、工夫の成功例だと思います。

 

色んな作品・キャラクターの影響

この作品の中に、たくさんの有名キャラクターの影響を感じさせます。

まずは、主人公の「あ~る」ですが、顔の半分を前髪が覆っている様子は「ゲゲゲの鬼太郎」を連想させます。また、生身の人間ではなく機械仕掛けのアンドロイドであり、人間では考えられない身体能力をもっている、という設定は「Dr.スランプ」アラレちゃんを思い浮かべさせます。

また、部員の中で、「西園寺 えりか」という人物ですが、どう見ても、「きんぎょ注意報!」の主人公「わぴこ」としか思えません。声優が同じであることは挙げられますが、常に笑っている様子は「わぴこ」そのものなのが印象的です。

そして、一瞬ですが、バレーボール大会のマスコットキャラクターである「ハボちゃん」がさり気なく登場しています。これは、鉄道スタンプを軸に置いている物語構成上、登場させる意図が全く理解できません。また主人公たちも光画部という写真撮影を目的とした部活動をしていますが、バレーボールと全く関連性がありません。関係性・関連性が一切ないということを狙ったお笑い要素を意図するのかもしれません。

他にも、探せば関係性・関連性がない有名キャラクターが登場しているかもしれないので、探してみるのも面白みのひとつではないでしょうか。

 

ギャグマンガ要素

OVAというジャンルで、ギャグアニメ作品というのが珍しい作品といえます。また原作マンガを知らない方でも、このアニメ作品を観て笑うことができる工夫はよく考えられています。

まず冒頭で、原作マンガの宣伝から始まります。ひょっとしたら、笑いを狙ったものではないのかもしれません。しかし、原作マンガを読むことを勧めるメッセージが宣伝のように感じられ、冒頭からいきなり笑わされます。

光画部の部長である、鳥坂(とさか)先輩の暴君ぶりにも笑えます。めちゃくちゃな発言と、それに振り回される部員たちが面白おかしいです。また、鳥坂先輩が場面の中で、度々みせる中指を立てる仕草は1980年代後半に流行りました。

そして、「あ~る」の超人ぶり、万能ぶりにも笑わされます。機械仕掛けのアンドロイドなのに、生身の人間同様に食事して、エネルギー補給するという設定は斬新です。そして、おとぼけキャラクターであることと、声のイメージが合致しており、魅力的になっています。また、舌足らずなのか、日本語の覚え方を間違えているのか、話し方が独特なのも面白いです。それ自体で、笑えるほどのインパクトはありませんが、ボディーブローのようにじわりじわりと効いてくるものがあります。

さらに、秘密道具のように便利アイテムを次々に出す様子は、「どらえもん」を連想させて笑わされます。しかも、便利アイテムとして出しても、その目的が果たせないことも多く、滅茶苦茶な展開になっていくのが面白いです。

そして、わざわざファンサービスと題しておいて、あまりファンサービスになっていないのもツッコミどころではないでしょうか。こういう作り込みは、原作者ではなく、制作スタッフのセンスに由来するものだと思います。この制作スタッフも、原作マンガが好きで、本気で良い作品に仕上げていこう、とする姿勢を感じ取ることができます。

 

昔のアニメならではの表現

最後に、「あ~る」が自転車「轟天号」9人乗りでゴールに向かう際、パトカーに追い回される場面は、当時のアニメでしかできない表現ではないでしょうか。あまりの滅茶苦茶ぶりに、こちらの想像の上をいく展開で笑ってしまいます。また、ゴールに向かいながら、9人乗っていた部員が、無情にも自転車から転落していく有り様も面白いです。

きっと、今の時代で同じアニメを制作したら、避難は多いのではないでしょうか。

まず、自転車の二人乗りが法令違反です。そしてパトカーに追い回され、必死に逃げる主人公たちを描くというのも問題になりそうです。

今のアニメでは有り得ない表現がされているのも、この時代のアニメならでは、という面白みと考えられます。今のアニメ表現と、昔のアニメ表現の違いという観点でご覧になると、新しい発見や当時の時代背景など知ることができるのではないでしょうか。

 

この作品が単品で終わってしまっていることが、非常に残念でなりません。原作マンガのアニメ化、OVAであっても続編があったら良かったと思います。これだけ魅力的なコンテンツなのに、勿体ない気持ちにさせられます。

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