物語の進展から、メッセージ性に大きな変化 - ヴァンドレッドthe Second Stageの感想

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ヴァンドレッドthe Second Stage

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物語の進展から、メッセージ性に大きな変化

5.05.0
映像
5.0
ストーリー
5.0
キャラクター
5.0
声優
5.0
音楽
5.0

目次

人間の成長を描いている

First Stage」と呼んでよいのか、分かりませんが、第1期シーズンは「起承転結」の「起」「承」に該当するようです。「Second Stage」に突入して、人間との触れ合い、摩擦を通して、主人公ヒビキは大きく成長していきます。

また「Second Stage」は「起承転結」の「転」から始まりますので、最初からビックリさせられる展開が多いですね。また、主人公をはじめ、登場人物の変化ぶりにも驚かされます。冒頭と最後では、それぞれのキャラクターの性格も大きく変わっているのが面白いです。男性のみの世界、女性のみの世界という設定から、奇をてらった内容で、主人公ヒビキとヒロインのティーバが良い雰囲気になって終わりだと思っていました。しかし、予想を大きく超えるスケールの作品になりましたし、描いている内容も全然違ったものになりました。

最後は「永遠の命」という名作「銀河鉄道999」のようなテーマにも触れられていました。人間の生き様や、果たすべき使命、そして、次の世代へのバトンタッチという壮大なメッセージ性が含まれた作品に仕上がっています。

物語の冒頭部分を観た限り、それぞれ主人公、登場人物が未熟だったこともあり、「ヴァンドレッド」というアニメ作品を侮っていました。しかし、それぞれが成長して変わっていく様子は素敵だと感じました。

 

意外に思ったのは、第1期シーズンと「Second Stage」を通して、「起承転結」が構成されている点です。第1期シーズンで物語は完結して、「Second Stage」は新しいステージで開始されると思っていたので、「Second Stage」という呼称はなんなのか、少し疑問が残っています。第2期より「Second Stage」と入れることで題名に変化を加え、新規の視聴者を取り込もうとした、大人の事情なのでしょうか。

 

登場人物の変化

ヒビキ・トカイ(主人公)

暴走気質の高く、言葉遣いも下品な少年でした。また言うことは立派でも、行動が伴っておらず、薄っぺらの印象が先行していました。しかし、言葉遣いも少しずつ変わってきたように感じますし、人間として仲間たちを守るという気持ちに目覚め、直情なだけではダメなことに気付いていきます。そして、良い面、悪い面、自分自身に向き合っていくことで、大きく成長して立派な男に変化しています。そして、実は凄く立派な血筋も持ち主であったことも明らかになり、とても驚かされました。

 

ディータ・リーベライ(メインヒロイン)

天然キャラで掴みどころがない少女で、主人公のヒビキに対してのアプローチが強烈でした。しかし、ヒビキに邪険になれることが多く、思い悩んでいた様子が印象的です。最初は恋愛感情を知らないし、そんな概念を持ち合わせていませんでした。しかし、ヒビキに接近する女性ライバルが登場することで、異性として恋愛感情をもつように変化していったように思います。

また周囲に流されることなく、ぶれない強い意思・意見をもっているのも驚かされます。

 

メイア・ギズボーン

第一期では、無口で荒んでおり、他人との交流を避けている様子でした。そして、感情的になっていることもありましたが、「Second Stage」では、冷静でおとなしい印象しかありません。まるで、人が変わってしまったかのような変貌ぶりです。

良いお姉さんになり、表情豊かで柔らかい「ヱヴァンゲリヲン」の綾波レイといった感じです。

 

特に変化が大きいと感じたのは上記3名ですが、ほぼ登場人物の全てに変化は感じ取れます。総舵手のバートは、頭を丸めてスキンヘッドになってしまうし、医者の役割を担うドゥエロも積極的な性格に変わったように感じます。

また、バーネットに関しても、男性陣を隔離したり、女性だけで乗り切ると息巻いたり、感情的になって衝突することが多かったです。しかし、衝突して悲しい出来事を経ることで、大きな変化があった登場人物なのではないでしょうか。そして、副長のブザムは男性だったというのが、意外過ぎる展開でした。一人の役に対して、男性・女性と二人の声優さんがいるのも、「らんま1/2」の主人公みたいに珍しいことではないでしょうか。

 

フランス革命

仲間たちとの絆が、「Second Stage」の終盤では、特に強調されていたものなのではないでしょうか。危機を回避する為に、これまで交流をもった者たちが集まり、ひとつになって戦っている様子が印象的です。

また敵対勢力の地球側は少数で、とても強力ですが、ポツンとした存在なのが、主人公たちと対照的で印象に残ります。

また地球人は、他の星や環境で生活している人間を予備部品として扱っており、非人道的であるのもインパクトが強いです。現実社会における人身売買や、臓器の売買など風刺しているように感じるからです。おそらく制作スタッフ、もしくは原作者は意図的な狙いがあって、このように描いているのではないでしょうか。

絶対にあってはならないことですし、まかり通ってはならない道理だと思うのです。地球人の発言は、人権を軽視したもので、許されないことだと思うのです。「人権」という言葉こそ、出てこないものの、表現されている内容は「人権」そのものではないでしょうか。

圧倒的な力に折れることなく、仲間たちと協力して戦い権利を勝ち取っていく様子が、歴史の中のフランス革命のように感じました。

制作者のメッセージは、「仲間たちとの絆」「人権」という二つに集約されるのではないでしょうか。

 

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