日本人テイストの大王さま - アレクサンダー戦記の感想

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アレクサンダー戦記

4.004.00
映像
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ストーリー
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キャラクター
5.00
声優
5.00
音楽
5.00
感想数
1
観た人
1

日本人テイストの大王さま

4.04.0
映像
4.0
ストーリー
3.0
キャラクター
5.0
声優
5.0
音楽
5.0

目次

主人公モデルの人物像は!?

実在人物を扱った史実ではありますが、脚色やアレンジ色が相当に強い作品です。また観ていて、日本人テイストであることをとても強く感じました。考えてみれば、日本人向けに制作されたアニメ作品なので、日本人テイストであることも当然といえば、当然のことといえるでしょう。

日本歴史の偉人の中で、最もこの作品のアレクサンダーに近いのは、織田信長のように思います。何を考えているのか分からず、突飛な行動で周囲を振り回している様子は、「尾張の大うつけ」と呼ばれた織田信長と重なるのではないでしょうか。また、全国制覇という偉業を成し遂げた織田信長という人物像をアレクサンダーにうまく当てはめて設定されているように思います。

しかし、織田信長だけではなく、色んな偉人の要素を加えているように思います。アレクサンダーは少数戦力で、速度を重視する先方を重視しているようです。言い換えれば、奇襲戦法という見方ができます。奇襲戦法といえば、源義経という印象が強いです。そして、アレクサンダーには騎兵隊で、槍の名手クレイトスの存在が大きいと思いますが、源義経に仕える弁慶のような位置づけのような気がします。クレイトスは槍(スピア)、弁慶は薙刀という、得意とする武器のかたちが似ていることで、そう思える部分も大きいです。

 

アレクサンダーの人物像は不思議に満ちており、それが作品全体の魅力として、全面に打ち出されているように感じます。

 

ブケファロスという愛馬

これはどう見ても、「北斗の拳」ラオウの愛馬であるコクオウや、「花の慶次」前田 慶次の愛馬である松風そのままのように思います。あまりにそのままなので笑えてしまうほど、そのままのイメージとなっています。少し独自のアイデアを入れるという工夫は無かったのでしょうか。

何も知らず結果的にこうなった、というものではなく影響を受けていることは明らかです。そして、アレクサンダーが速度を重視する為、愛馬という要素が欠かせなかったのでしょう。また、アレクサンダーの強いイメージを強固にする為、単独であっても戦闘力の高い愛馬という存在が欠かせなかったのだと思います。その部分において、このアニメ作品のオリジナリティーが感じられず、とても残念に思いました。

 

魔術・妖術のような!?

この「アレクサンダー戦記」というアニメ作品において、史実と明らかに違う部分は、この魔術や妖術、そして時代背景からは考えられない武装が登場することでしょう。こういったオリジナリティーを良いと思う方、悪いと感じる方に別れると思いますが、私は後者の悪い方向に感じます。

史実であるなら、史実に沿った物語に作り込んだ方がストーリー展開そのものも、もっと明確に分かりやすく伝わったのではないでしょうか。良い・悪いに別れるのもそうですが、「どれくらい」という加減もあると思うのです。

魔術・妖術といった要素は多用されており、その要素で先の展開が読めない、というメリットがあります。しかし、観る側に分かりづらくなってしまうデメリットが挙げられます。何がどうなったのか、という点が把握しにくくなってしまうのではないでしょうか。

多少は魔術・妖術といった要素はあっても良かったのかもしれませんが、終盤に突入すればするほど、何がどうなっているのか分からない部分が非常に残念な点に思いました。

 

また、当時の時代背景では存在しなかったであろう、武装・兵器という部分においても、「北斗の拳」「花の慶次」を彷彿とさせるものが多かったように思います。空中戦をする兵士は、「北斗の拳」の南斗人間砲弾を思い浮かべました。また、巨人兵なるものが登場しましたが、「北斗の拳」「花の慶次」では同じ人類とは考えられない登場人物が度々登場します。時代背景や設定が違うことで、全然違ったイメージに見えますが、内容そのものは酷似しており、制作スタッフが影響されていることが伺えます。

 

アレクサンダーの人間性

このアニメ作品において、もっとも根幹の部分であると考えられます。前述の通り、何を考えているのか、読めないし分からないのがアレクサンダーの特徴といえるでしょう。それが徐々に明らかになってきそうで、なってこない点が面白みになっています。

ただ言えるのは、アクレクサンダーにとって、自分は大王であるという誇りやプライドというものは大きくないことが伺えます。身分や立場によって、人物像の見方を分け隔てしない、という部分がアレクサンダー自身の魅力になっています。そんな魅力を兼ね備えているから、人から愛されるし、人気が高い大王なのだと思います。

環境が人間性を大きく左右させることは、多くの方が実感されていることで、科学実験でも実証されています。しかし、アレクサンダーは大王という立場にありながら、誰に対しても分け隔てせず、対等であり平等である点が凄いことです。そして、誇りやプライドという部分が弱いことから、驕ることがないことも強みと考えられます。きっと、アレクサンダーが慢心して足元をすくわれる、ということはないではないでしょうか。

それとは対照的に描かれていたのが、強敵として登場したペルシアの王なのだと思います。

 

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