原作を知らないので、アニメ作品としての観点で
とても短いOVAなので、ビックリ!
OVAとして、1話25分弱ほどで全2話という、全て観通しても1時間もかかりません。そのわりには、オープニング曲やエンディング曲はしっかり作られており、その短さに違和感を覚えました。なにか都合があって、その先の話を制作することを断念されたのか?とすら思えてしまいます。しかし、短いながらアニメ作品としては、きちんと内容はまとまっており、観て良かったと思えるアニメ作品です。
ガリィめちゃ可愛い!!
女の子らしい描写では、とても純粋で一本気な性格ですね。そして思いやりがあって、優しい部分も胸がキュンとなります。命を助けられたイドの裏の顔を知りながら、それを受け入れ、協力していく様子は恩返しだけではないように感じられました。
失った記憶の中に潜んでいる闘争本能が反応したのか、それとも純粋に優しい性格をしているので、イドという人格者、また彼の行動に好意をもって協力しているのか、観る人によって色んな受け取れ方がしますよね。
また物語の冒頭で、すごく早い段階でユーゴに好意を持ち、恋愛感情をもっています。これは時間の尺が短い作品なので、この展開を早くしないと、物語が展開していかないという裏事情があるのかもしれません。しかし、この展開の早さは、ガリィが純粋な性格であることを印象づける結果になっている気がします。
しかし逆に、惚れっぽい、という印象をもった方もいるかもしれませんね。私自身は、純粋さゆえの展開の早さだったと考えています。
めちゃくちゃ可愛い純粋な女の子で、実は失った記憶の中にとんでもない戦闘能力を秘めている大きなギャップがガリィの魅力のように思います。想像つかないレベルで、プロの暗殺者か、という動きを魅せますものね。また強い要素が、格闘というのが大きなギャップを生み出しているのだと思います。
別に格闘だけではなくても、色々な強さが演出できたと思うのです。協力な武装を装備している、という設定でも強さを演出できたのではないか、と考えられるのです。またそうでなくても、特殊能力に長けている、という要素でも良かったように思います。しかし、格闘という部分が、純粋で可愛いガリィとミスマッチ感があるのが面白い部分のように思います。
格闘というと、男のジャンルという固定概念があります。現実社会でも、女性の格闘技というものはあります。しかし男性の格闘技がメインであり、女性の活躍する場面はサブという位置づけになっていることが多いですよね。また男女間での格闘技での試合って、体格差や筋力さがあるので、そうお目にかかれる機会があるものではありません。
しかし体そのものは機械、メカニカルという設定にすることで、ガリィみたいな小さな女の子が格闘技が強くても、妙に整合性があるように感じてしまうんです。独特な世界観の中で、生み出されたガリィという女の子はとても魅力的です。
不思議に思った部分
物語の冒頭に、イドがゴミ山の中で、破損しており、自ら動くことができないガリィを発見して、修理するという場面があります。けっこうな破損状況で、見た目には全壊に等しいレベルであったようにみえるのです。
実は生きており、修理することで機能が回復することは不自然ではないのですが、イドが裏稼業で、賞金首に返り討ちにあった場面です。ガリィが助けに入ることで、ガリィの戦闘能力の高さが描かれます。そこで疑問・不思議に思ったことなのですが、イドはガリィの戦闘能力の高さなど知らなかったような反応を示します。
ガリィを修復させたのは、イド自身であり、彼女の身体の構成や格闘能力の高さを知っていることが自然な気がするのです。しかし、あの場面で見せた驚いたような表情・描写が不思議に思う部分に思います。
せつない締め括り方ですよね
登場当初は好青年だったユーゴですが、物語後半のワンシーンで、いきなり彼自身のイメージをブチ壊すんですよね。ガリィが好きになることも納得できるイケメンで、性格も良く優しく、大きな目標をもっています。この冒頭の描写が視聴者を「騙し」にいっていますよね。また手首の傷を見せておいた上で、その点においては含みをもたせているのは、後半に彼自身のキャラクターがするという布石になっている気がします。
また好青年に描くことで、脊髄強盗の描写では、まさに「裏の顔」と呼べる部分が際立ち、作品の世界観に引き込まれてしまいます。手首の傷と、好青年の描写がうまく機能しており、私自身は制作者の思うがままでした(笑
また「裏の顔」の次に見せたのは、彼自身の根幹といえる部分です。そして騙されていた、と知ったときにユーゴの人格が壊れていく描写は「ガンダム」を彷彿とさせるものがありました。特にガンダムシリーズでも、Zガンダム以降の宇宙世紀シリーズでは、壊れていく人格が多く描かれていますものね。
そしてイドの元恋人であるチレンも、目的の為には手段を選ばない女性で、当初よりすでに人格が壊れていた人物といえるでしょう。しかし、ユーゴを救命する処置をしてくれた場面では、それまでの行動や発言から意外性のある、優しさという一面を見せました。
イドとガリィ、それぞれの対となる人物チレンとユーゴの悲しい結末は、とてもせつない気持ちになりました。
仇討ちすることで、物語そのものは終わります。しかし、黒幕を倒したところで、報われない虚無感を強く感じる作品でした。
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