ファンではない者の冷静な視点でのレビュー
いつまで続くんでしょうね…
日本でナンバーワンを狙えるコンテンツになりましたね。原作漫画コミックは日本最速で一億冊を突破して、すでにナンバーワンの位置を獲得しているようです。ドラゴンボール、NARUTOなども日本を代表する作品といえるでしょうが、国内人気でみると未だ王座から降りる気配はなさそうに思えます。
どんなコンテンツでも同じことがいえますが、長過ぎるとパターン化してしまったり、内容や展開が垂れてしまったり、冒頭と同じような楽しさは続かないように思います。適切な長さで終えることができれば、歴史に名を残す名作になるのでしょうが、利権が絡んだり、商売の部分では終われないですよね。客観的にそういったものが見え隠れしてしまうのが、この作品に限らずですが、非情に悲しく思えてきます。
ただこれだけ続いており、ファンからは人気も続いている圧倒的なコンテンツだけに、最終回はどんな終わり方をするのか、ファンではない者からの視点はそこに尽きるような気がします。
超個性的なキャラクターたち
時代背景や世界観が自由なだけに、キャラクター設定の自由度も高いですね。「何でも有り」という雰囲気があって、新しい登場人物が出てくるとどんなキャラクターなんだろう、という期待感がある作品のように思います。世界観が、あくまでファンタジーであることも、この作品の強みといえますね。
これだけキャラクター個性が強いと、私は個性が弱いと思っているナミやウソップの個性もまた際立ってくるように思います。周りがあまりに個性的であることから、個性が弱いキャラクターの個性が逆に活きてくるという珍しい手法になっていますよね。これは原作者は狙ってやっているのか、それとも偶然の産物なのか、原作者自身に聞いてみたい気がします。
構成は週刊ジャンプの王道スタイル
これまでずっと続いている王道的な存在であるにもかかわらず、なぜこれほどに魅力を放つのでしょうか。これは最初の仲間たちとの出会いを強調した描き方をされているからだと思います。ナミやサンジ、ウソップやチョッパーとの出会いは未だに印象に残っています。それだけ出会いという部分に比重を高く置いているように感じます。そこに比重を置くことで、そのキャラクターが持っている背景や事情が強く印象づけることができます。
この原作者はそういった表現がとても上手で、個性的なキャラクターをつくる天才といえるかもしれません。
また「ジャンプ」という週刊誌に、その色がハマッており、他の週刊誌に、この原作者が連載を始めることが想像できないレベルです。週刊ジャンプの漫画を描く漫画家としては天才だと思いますし、むしろその為に生まれてきたんじゃないのか、と思える逸材ですよね。
よく作風や画風が似ている真島ヒロさん描く「フェアリーテイル」「レイヴ」と比較されることが多いですが、真島ヒロさんよりピンポイントに「ジャンプ的」のような気がします。ファンタジーを描いてる部分や、画風が似ている部分もありますが、描いている中身については全然の別物ですよね。
また可愛い画風は女性層を取り込んでいるのも、この作品の特徴ではないでしょうか。ドラゴンボールや聖闘士星矢、北斗の拳などに代表される「ジャンプ」コンテンツの中でこれらも大きな強みの部分ですよね。それがファン層を拡大させる大きな要因ということができると思います。
一番好きなエピソードナミ
最後に冷静な視点ではない部分での感想になると思います。少年誌が原作の中で、私自身、泣いた記憶があまりないですのが、この作品は泣かせますよね。特にナミのエピソードでは、いつも、何回観ても号泣させられます。あまりに切ないストーリーだと思いますし、観ていて、泣かせる気満々で「反則」だろうと思えてきます。それを理解して、分かっていても、泣いてしまうのです。
子を思う親の気持ち、また、親を思う子の気持ちに見事に感情移入してしまい、結果として泣いてしまいます。
原作者は、本当に泣かせることが上手だな、と感心させられます。私自身が歳を重ねて、涙もろくなってきたことも大きいのかもしれません。しかし、この場面では、多くの方が共感して涙したのではないでしょうか。
ナミは幼少期より、特殊な環境に育ち、それでも拾って育ててくれた実の親でないベルメールの大きな愛情を受けて育ちます。ともに過ごした時間は親子の絆を育むには十分だったのでしょう。しかし海賊たちからナミやお姉さんを救うために命を落としてしまいます。
その自己犠牲を払って、血のつながってない子ども達を守ろうとするベルメールの姿は涙なしには観ることができません。そして好きでもない海賊の仲間となり、金銭目的の部分も大きく海図をつくります。でも金銭にこだわる部分は、彼女自身の生きる為の手段として、過去の経験から学んできた悲しいことです。本当は海図をつくることは大好きなのに、それを悪用すること自体、ナミは本心では望んでいない。
そのナミの気持ちが、追い詰められた時、自身の中で感情が爆発してキャラクターに似合わず泣き出します。そして本心から、ルフィたちに助けを求める場面では、彼女自身の心情が真っ直ぐに伝わってきます。
チョッパーのエピソードと、一位二位を争う盛り上がるシーンですが、私はこのナミのエピソード派です。
きっと自分自身が親であることから、このエピソードに共感してしまう部分が大きいのでしょうか。
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