駆け込み乗車から始まる、一人の女の二つの話
着眼点がおもしろい。別々のストーリーが几帳面に交互に繰り返されていく他にない感じが面白かった。どちらのストーリーも同じくらいの分量で進められていく。ある意味視点は平等。これも「恐怖分子」と同じような、日々の偶然性や出来事の偶発性みたいなものを主題にした映画のように感じられた。人との出会いは本当に偶発的であるとこの映画を見ると思わされる。たまたま電車に乗ったから出会えたあの人。たまたまあのバーに友達と訪れたから出会えたあの人。私の周りにいる人に感謝しなくちゃなと思わされると同時に、その限られた世界で惚れたはれたを繰り返す私たちが少し滑稽に思えたり思えなかったり。運命性がそこに感じられるような、そうでもないような。
まあ言ってしまえばどこで話を切るかの問題だとは思う。電車に乗れたほうが多分その瞬間は乗れなかった自分よりはハッピー。彼氏の浮気がわかってしまったときも多分わかっていない自分のほうが知った自分よりハッピー。だからアンハッピーエンドの方も、もう少し経てば幸せな瞬間が訪れて、そこで話を切っちゃえばハッピーエンドになるんだろうなというのはある。結局幸せかどうかなんて考え方ひとつだということなのかな。
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