罪と呪いの物語
原作からのアニメ化
最近ではよくある原作小説からのアニメ化作品であり、呪いによって生まれ、人としての姿をとった少女の物語、といったなかなか興味深いテーマの作品であり、呪いといった不確かなものについての考察や実際に物体が意思を持ち、自身の用途や在り方について葛藤したりと変わった視点から紡がれる物語になります。
原作ではキャラクターごとの感情や思考といったことも詳しく描写されていますがやはりアニメといった媒体ではなかなかそういった細かな描写は難しいらしく、原作小説での魅力が半減してしまうのは原作ファンとしては少し寂しくもあります。
日常でコミカルなシーンもあり、アクションでシリアスなシーンなどメリハリのある作品でありますが1話あたり約25分といった短い時間では表現が物足りなく感じ、個人的にはどちらかに特化させた方が作品としての完成度は高くなるのではないかとお思います。
私が小説を購入するにあたって新タイトルの作品はあらすじと絵柄で判断することが多いのですが本作品はどちらも魅力的に見え、内容もメリハリがあり、上手くまとまっていると思うので良い作品であると思います。
アクションシーンに限り、躍動感や勢いといった小説では感じ取り辛いことについてはアニメの方が表現がしやすいのでアニメで補填し、小説を読み直すといった形でより作品を楽しむことが出来るのがアニメ化作品の良い点であると思います。
silverLink.作品の魅力
silverLink作品の特徴としては独特のパステルカラー調の描写があり、他作品を視聴したことがある方はすぐにsilverLink作品であると分かり、ポップな雰囲気のシーンなどの表現がとても良く出来ていると思います。
原作との相違点も少なく、忠実に原作を再現させるといったことにも気を使い、原作とアニメのイメージの相違点を少なくし、原作ファンにも楽しめる作品の製作が多く、安心してアニメの視聴が出来るのでsilverLink作品であると期待して視聴が出来ます。
DVD版にはサイドエピソードとして短編小説が収録されていたりラジオが収録されていたりと特典もありますがパッケージ版の特典としては少し物足りなさもあるので購入意欲を掻き立てるには少し弱いのではないかと思います。
アニメ製作に関しては丁寧で良いのですが特典などといった面が物足りなく感じるので勿体無いと思います。
本作では原作小説を中心にしてアニメでの補填は少しで良いのでアニメは1シリーズでまとまったのは良いと思います。
呪い(のろい)と罪について
メインヒロインにあたるフィアは拷問器具が人間としての姿をとり、呪いといった自身の罪についての考えや行動の描写が多く、罪の意識についての考察があり、誰にでも大小の差はあれど同じ様に考えさせられることもあり、共感出来る部分もあるのではないでしょうか。
負のイメージの強い『のろい』と願いやおまじないといった正のイメージを持つ『まじない』とは同じ漢字で表現される様に考え方や物の見方でイメージが全く違うものになってしまうこともしばしばです。この事と同様に罪についても同じようなことが言えると思います。
取り返しの付くことについては罪を償うといった形で取り返せる事もありますが本作である様に人を殺めてしまうといった事については取り返せるものではなく、一生罪を背負っていかなければいけない事ですがそれが自身の意志で犯した罪でなければどうなるか?といった事など、深く考えさせられる事もあり、簡単には解決出来る事ではなく、難しい問題ではありますが『罪』について再認識されられることもあります。
誰にでも大小の差はありますが同じように思う所があるのではないでしょうか?これを機に今一度自身にも心当たりがないか等、考えながらの本作の視聴をしてみるのも良いのではないでしょうか。
呪いの道具について
本作には様々な呪いの道具が出てきます。アニメでは拷問器具から刀や人形など、様々な呪いの道具が登場します。中には有名な道具として鋼鉄の処女や妖刀村正といった聞いたことがある様な道具の登場もあり、怖い話やオカルトじみた話が好きな方は楽しんで視聴が出来たと思います。原作小説ではさらにたくさんの呪われた道具として有名な道具の登場があるので興味のある方はぜひとも原作小説についてもより深く触れてみることをお勧めします。
若い男性の方には心躍る様な設定があり、もっと隅々まで調べてみたくなる様なことがたくさんあります。例えばフィアには32の機構といった武器があり、原作でも登場しない物もありますが巻ごとに新しい描写があり、楽しめるようになっています。他にも呪われた道具を悪事に利用したり保護したり研究したりと様々な機関や組織なども登場したりと人間関係もだんだんと複雑化していき、主人公達を中心とした物語の動きについてもとても面白いので物語を知れば知るほど楽しめる作品であると思います。
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