外務省ハレンチ物語~佐藤優~ - 外務省ハレンチ物語の感想

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外務省ハレンチ物語

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外務省ハレンチ物語~佐藤優~

3.53.5
文章力
4.0
ストーリー
3.0
キャラクター
3.5
設定
3.5
演出
3.0

一連の北方領土問題において発生した鈴木宗男事件で失脚、拘留処置を受けた元外務省主任分析官、佐藤優氏の作品です。

外務省と言えば国家公務員の中でも難関中の難関であり、選りすぐりのエリートが揃った機関というのが世間一般での印象でしょう。

ところが、エリートであるはずの外務官僚が働いている内に「ムラ」の論理に染まり、国民のためではなく自らの立身出世と金のためだけに働くようになり、その過程で職権乱用や女性職員、現地人に対するセクハラといった問題を起こしている現実が描かれています。

年下の女性職員と本省で情事に励む幹部、本省には無断で現地で外車転がしのビジネスに手を染めた挙句、ノンキャリの女性職員との不倫を楽しむ公使等、我が国の外交は本当に大丈夫なのかと心配になるような内容の数々です。また、佐藤氏がロシアの専門家であることから、ロシア人の感覚や考え方もある程度、つかみ取ることができます。

普段はノンフィクションや海外事情の論文を執筆する佐藤氏ですが、緊迫した外交シーンをシンプルな文体で描き出す世界観は読みやすく、読者を飽きさせないストーリー構成となっています。

多少の脚色は勿論入っていると思われますが、エリートと呼ばれる外交官も、よくも悪くも一人の人間であり、そうした欲求からは逃れられないのだなという印象を持たせてくれた一冊でした。

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