変えられない過去
あの時選ばなかった選択をしたらどうなっていたか。というテーマでパラレルワールドものが展開されるのは映画でも漫画でもよくある話。元の世界に戻ったらパラレルワールドで得た知識や経験をもとに同じようにして、パラレルワールドを自分の世界で再現するというパターンは特にお約束。
けれどこの映画は違うと感じた。
ラスト、現実に戻ってきた主人公はパラレルワールドで知ってしまった暖かな家庭を取り戻そうとしているように見えるけど、監督は恐らく「取り戻すのではなく、これから作っていく。過去は変えられないけど、未来は作れる」という風に見せたかったんじゃないかと思う。
何故ならパラレルワールドでは主人公とヒロインは理想のアットホームな夫婦。けれど現実では二人ともバリバリのキャリア。歩んできた道が違っていて経験も考え方も全く異なっているのだから、簡単にパラレルワールドの時のようにはなれない。
もしパラレルワールドの再現が簡単に出来るような話にするのなら、監督はヒロインをあんなバリバリのキャリアウーマンにしなかっただろうと思う。空港でヒロインは搭乗せずに主人公の呼び掛けに足を止めたけど、二人とも仕事はほったらかしにしているし、絶対に大変なことになる。
最後は二人で語り合う画で終わったけれど、上記のように大団円にはならないと感じていた私にとっては「ご都合主義過ぎる」作品とは違って見えて良かった。
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