トラウマと命
トラウマと戦うシノン
1クール目ではアスナを差し置いてヒロインだったシノン。
ゲーム内では強いですが、現実では弱気な少女であったことから
何か深い意味がありそうな雰囲気を皆さんも感じましたよね?
そして、明かされたのは、身を守るためとはいえ銃で人を殺めてしまったこと、
その記憶がよみがえることを恐れて銃を避けているコト。
でもここで不思議に思ったのを覚えていますか??
見るだけで嘔吐してしまうようなトラウマである銃を、彼女は自室の机の引き出しに入れて保管していたのです。
普通、人間は嫌なコトがあると忘れようと努力します。
現実世界の日本では、道を歩いていて銃を目にするのは広告などの偽物か、
本物であれば事件に巻き込まれるなどかなりの低確率でしかありえません。
そんな目にする確率の低い、ましてや手にする機会なんて全くないと言ってもいい
忘れることが出来そうなものを、彼女は忘れようとしなかったのです。
トラウマの原因を忘れることは、逃げることであることだと本人が一番分かっていたし、
強くなりたい思いからいつか克服できると考えたわけです。
ですが死銃との戦いで死に恐れた彼女は、ゲーム内でもトラウマを引き起こしてしまいます。
そんなときにキリトの強さの理由を知り、死銃を倒すことができた彼女は自分が現実でも少し強くなれたような気がしてくるのです。
そして現実の自分と向き合う決定的なシーンは、現実でキリトが連れてきた親子にありました。
強盗にあった銀行にいた銀行員の女性は当時妊娠中で、シノンが命を救ったのです。
これは、シノンがトラウマと戦う、罪と向き合うためには十分なエピソードだったと言えます。
ユウキと命の話
2期全体でのヒロインはシノンと言ってもイイですが、
忘れてはいけないのが、2クール目から登場するユウキです。
1クール目では本来のヒロインであるアスナの登場が少なく、
その分を埋めようと思ったのか、キリトよりアスナがメインになっていきます。
ユウキに勝ったことをきっかけにアスナはユウキたちとダンジョンに行くのが「マザーズ・ロザリオ編」の始まりです。
ユウキ率いるスリーピングナイツのメンバーと仲を深めていくうちに、居心地の良さを覚えたアスナは
スリーピングナイツにに残ることを決めますが、ここでユウキ達が複雑な表情を見せたため、
アニメを見ていた人たちも、ここでこのギルドにはなにか隠し事があることに気が付いたと思います。
また、その理由をキリトが知っているかのようなセリフをユウキが口にしていますが、
これはのちのちキリトの将来の夢への努力の話に関係してきます。
仲を深めたいと思うアスナに対して、仲を深めすぎないように距離を取り始めるユウキ。
そしてきっかけはユウキがアスナのことを「お姉ちゃん」と呼んでしまったことです。
ここで、ギルドの隠し事の件で1つヒントになり、ストーリーがテンポよく進むんだと思います。
連絡が取れなくなり焦るアスナを助けてくれたのがキリトです。
2期が始まってから、キリトは「ソードアートオンライン」の経験を活かして
いつかそんな仕事がしたいと口にするようになりましたが、
言うだけではなく、自主的に勉強を進めていて、その結果、現実世界でのユウキの居場所を突き止めることができたのです。
このおかげでアスナはユウキの元にたどりつくことが出来ましたが、
そこは病院で、ユウキは機械の中にいました。
それを知ったアスナの表情があまりにもリアルで、アニメを見ている私も何とももやもやした感情があったのを覚えています。
命が長くないと言われているユウキにために、さすがヒロイン、何かしてあげたいと言います。
「学校に行きたい」と言ったアスナはその夢を叶えようとしますが、アスナ1人ではどうしようもできませんでした。
ここでキリトの勉強の成果。アスナの肩にカメラを付けてその映像をユウキにリアルタイムで見てもらいます。
キリトの勉強の成果をここまで具体的に見ることが出来たのはこのシーンが初めてで
ここまですごいものとなると、主人公の将来安定感がありました。
アスナができるだけユウキの願いを叶えたり、今まで以上にお互いのコトを話したりするようになりましたが、
別れの時はやってきます。
最後を看取るのはどのアニメにもある話だと思いますが、このアニメはこのアニメらしくゲーム内でそれをします。
ゲーム内で最後のお別れってどうなの?と思った方もいるかもしれませんが、
ユウキはそれを望んでいたでしょうし、ゲーム内ならでは全国のプレイヤーが集まってユウキを看取りました。
ユウキをきっかけに動いたのは一番動いたのはアスナでしたが、
ちょくちょく出てくるキリトの夢で、ただゲームに没頭する学生ではなく、
好きなコトを仕事にしたい。それを医療にも役立てて人の命を救えたら。と思っているあたりにとても感心しました。
最後に
この作品はたかがゲーム、されどゲーム。
をうまく表現できているアニメだと思っています。
1期でもゲーム内で死ぬと現実でも死んでしまうように、
ゲームを介してトラウマと戦って、その結果現実でも強くなったり、
現実では出来ないことをゲーム内で経験して寿命が延びたり、
現実に与える影響は大きいモノだと思います。
今より少し進んだ世界の話ですが、現実よりかけ離れすぎているわけではないので、
いつかあり得る話だと思うと、その時はキリトのように
ゲームを現実に活かせるような使い方をしてくれる人が出てくるといいなと思っています。
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