白と黒について
作品は、白と黒。明と暗。を芸術的に本当に上手に構図のように正確に。寸分のくるいもなく緻密に計算されて撮影されたと思うと、ぞっとするほど素晴らしいものだと思います。
主人公の白と黒。
主人公の財前。野心にあふれ成功するためには手段を選びません。
もう一人の主人公の里見。研究に没頭し成功、野心は患者ありきといった人です。
高級マンションに住み派手な妻を持ち愛人と医療について語る財前。狭いアパートに住み妻と子供とつつましい生活をする里見。
対照的な二人を主人公にすることで白い巨搭はより白く、白が際立てば黒はより黒く巨搭へ物語は進みます。
明と暗
白い巨搭で有名な回診。最初は東が財前、他医師、看護師を従え病室を回るが財前に追い詰められ大学病院を追われる事が決まり最後の回診には誰も後ろにはいない描写が印象的。変わって財前が東を塗り替えるかの如く医師、看護師を従え回診をする。
エンディングの歌はアメィジング・グレイス。
この歌に載せ巨大な白い巨搭を掴もうと手を伸ばすものの完成したかのような白い巨搭は小さな宝石、ダイヤモンドダストのようにはらはらと上から儚く崩れていく…ドラマと同じ描写がエンディングで使われています。
白が際立てば際立つほど黒い影がそこには出来る。黒い影が白を作り出しているのかもしれません。
財前が手に入らなかったのは里見と白い巨搭です。財前が全てを捧げ作り上げた白い巨搭は最初に入った小さな黒い点大きくなり飲み込むかのように崩れ落ちます。
財前は末期の癌に犯され体を引きずり診察を願い出たのは里見の所です。
里見には白い巨搭はありません。それを支える家族は白い巨搭に属さない事による不安、葛藤もあります。
白い巨搭に属さない事が善とは言えない部分も描かれています。
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