単なる恋愛・SFじゃない とても余韻のある物語
私、幸運な読者です。というのも映画化をきっかけに、お話を完結まで読むことができたからです。
聞けば、作者さん体調悪くて休載されたから 当初の掲載誌・・・別冊マーガレットでは完結まで連載できなかったんですよ、ね?作者の高野先生も作者冥利に尽きるってもんです。(すいません。えらそーに;;)連載再開でお世話になられた双葉社さんに、わざわざ乞われての、掲載誌を変えての連載開始。集英社さんには悪いですが 再開を知らない当時の読者さんたちにホント大声で完結したよぉって吹聴したいです。(映画化してるから必要ないか?)
しかしこれも、とても納得のいくお話です!もし連載当時にこの作品に出会ってれば、途中休載だなんてのは辛い!「ガラスの仮面」か「王家の紋章」の読者悲劇?を思い、ブルッと来そうです。50過ぎてこの漫画に出会った私も大変感動しましたもん。まずはこのこと、声を大にして言いたいです!・・・2回目だな。
少女漫画にはよくある設定です。「未来の自分からのメッセージ」自分がもらったら、ホンマかいな?と悩みます。主人公、とてもリアルな反応。納得のリアクションです。でも「やっぱり、未来からのメッセージは真実?」と思わざるを得ない現実が主人公たちを襲い、正面から考えざるを得なくなる。ああ、なんて読者を引き付ける力が強いんだろう。演出がすごい!っていうんでしょうか。現実味があって、他人事や作り事じゃないんです。もう対象は少女、だけじゃないです。小説読んでるみたいですよ。大人にも充分読み応えのあるものだと思います。男の人にも読んでほしいぞ!最初だけでコレですもん。山場に向かうに従いどれだけ読者をリアルに、感情移入させていくんだ~?!
「私、選択を間違えてしまった?」とショックを受ける主人公に、ひとり。またひとり、と心強い協力者が現れます。読んでて泣きそうにさえなりました。未来の自分の前から自殺という形で消えてしまった、大好きな彼を失いたくない。どう動けばよかったのか。読者たるこちらも同じ感覚を共有しつつ迎えたラストは・・・。
メッセージを過去の自分に託した、メインストーリーの10年後を生きるもう一人の主人公にとっては、めでたし、ではありません。これもひとつの現実として、なんともいえない切なさを残して物語は閉じられます。
でも、とても読後感に余韻の残る 素敵な物語であったと思います。たくさんの方に、手に取ってほしい作品です。
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