いわゆる幸せを味わうのにはいいのかもしれない
最近の映画に見られるような映像の美しさや派手さのごり押し(3Dとか巧みなCG)なんていらないんだと再認識させてくれる映画だ。まっとうな映画!とでもいうべきか?主演の女優にキャサリン・ゼタ=ジョーンズを、俳優にアーロン・エッカートを起用している点が秀逸だ。女優が見ているだけで存在感のある女優なので、出て来る料理の美しさや料理の素材や取り巻きのスタッフ・経営者に決して負けることのない主人公になっている。しかし、さらにこの映画で優れているのはこの映画の根底にある愛情を表出する過程であろう。原作となった「マーサの幸せのレシピ」のストーリーの良さももちろんだが、この映画の監督であるスコット・ヒックスの手腕もあり、非常にストーリーの誘導の仕方が上手い。自宅でアフリカのジャングルを模してディナーを楽しむシーンはそれまでのお互いの関係が昇華し一つの家族へと向かう契機として作用している。このシーンを踏まえるからニック(アーロン・エッカートが演じるシェフ)の姿に魅了されるのであろう。なにせ、子供と料理を作るシーンは無意識に父親像を彷彿とさせるのだから。短い映画の中に「家族を作ろうという」流れを表出しているこの映画は見ている者にとってなんとも言えない幸福感を残してくれるだろう。
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