男のロマン、女のロマン、両方そろってます。
兄ムッタはなぜモテない?
シャンプーがよく泡立ちます。と英語で面接時に返答して見せるその度胸。他とはまったく違う個性を発揮するムッタは天然パーマのアフロヘア―です。実写映画化された際の俳優さんはなんと小栗旬。漫画から入った人であれば意外というかカッコよすぎるという感想を持ったのではないかと思います。しかし、ムッタは漫画の中ではかなりなイケメンだと私は思っています。初の両手から月面着陸する宇宙飛行士と言われたり、レストランで強盗を捕まえたのはただの偶然の産物であるとか、いろいろドンくさい一面もあるのですが、しかし、運を手にする才能は人一倍持っているように思います。そして決めるときはばしっと決めてくれる実力を併せ持っています。私はどの登場人物よりも、このムッタに惚れこんでいます。実際に目の前にいたらきっと面白い人だなあ止まりなのだと思いますが、こうして神の目線で物語を追っていると、どんどんとムッタに夢中になる自分がいます。なのに、彼らの世界ではムッタは全くモテないのです。不思議ですね。やはり、同じ目線だと気づかないのでしょうね、ムッタのカッコよさは。惜しいです。けれど、モテモテのキャラクター設定では、ありきたりでムッタの個性が死ぬ気がします。そこがまた完璧ではないからこそ、ムッタの良さが引き立つのでしょう。私は好きです。
弟日々人は太陽?月?
よく、太陽がいるから月は輝けるのだ!という表現を目にするのですが、弟日々人はどちらでしょう。私は初めは太陽のような存在だと思いました。彼は自分自身で輝きを放ち、みんなを照らす天然の才能があったのです。それは完璧で、ムッタに比べるとなんでも兼ね備えているイケメンです。実写映画化された際は岡田将生さんが日々人を演じるのですが、これは原作ファンも納得したのではないかと思います。私も深くうなずきました。さて、話を戻しますと、彼は兄ムッタが堕落し、宇宙飛行士を諦めるその姿を見てがっかりします。幼いころにふたりで見たUFO、宇宙飛行士になろうと約束した夢を踏みにじられた思いがしたんでしょう。着実に進む自分と一緒に肩を並べて歩みたかったのだと思います。現実を見て諦めるのではなく、常に目標を見てムッタ自身を信じてほしかったのだと思います。しかし、先に宇宙飛行士として月に降り立った初めてのミッションで彼は事故に遭い、死ぬ思いで生還しました。平静を保っていた日々人ですが、後遺症で彼はパニック症を患います。閉鎖された空間で酸素のない苦しい状況が蘇り、過呼吸を起こしてしまうようになるのです。その頃の彼は兄が照らす月のように自分から輝こうとはしませんでした。初めての挫折ではないでしょうか。まるで立場が逆転した兄と弟ですが、かわるがわる太陽という役割を担っているように思います。今彼は話に登場してきません。全くと言っていいほど見る影もなく、メールが一通ムッタに届くだけの登場にとどまっています。それは、太陽となるべくまたエネルギーをためているのではないかと私は思っています。照らされるべき月に二人で降り立ち、幼いころの夢を叶えるために、彼は今ロシアで頑張っているのでしょう。再び物語へ戻ってくるのを期待しています。
宇宙へ旅立つときのルール
遺書を必ず書くんだそうです。これは宇宙兄弟を読んで初めて知りました。そうですよね、無事に行って帰ってくるだけでも100%ではないのですから、死を覚悟して旅立つのは、宇宙飛行士として当然のことですよね。日々人が月へ向かうときは、ムッタのお母さんは泣きませんでした。喜びを爆発させ、我が子の勇姿を見守りました。しかし、ムッタが月へ旅立つときには、大粒の涙を流し、息子が宇宙へ行った喜びと感激、それと不安も一緒に抱いていたのではないでしょうか。当然ムッタも遺書を書いて職務についています。そして、弟の事故を目の当たりにし、その恐怖も味わっています。もしムッタにも事故が降りかかったら、と想像しない親はいないでしょう。不安はもちろんあるでしょう、しかし、ムッタのお母さんはムッタの努力が実ったその姿に感動して涙を流したのだと私は思います。よく卒業式で我が子を見ていたら感動して涙が出るのと同じ心境で、きっと親心があるからこそ、あのシーンは描かれたのだと思います。
脇役ではありますが、陰ながら我が子を支える南波兄弟のご両親は見習いたい部分をふんだんに持っている魅力的なお二人です。まず夫婦仲がとてもいいということ。堅物そうに見えてユーモアあふれるお父さん、そのお父さんのギャグや物まねを見て面白いと笑うお母さん。表面上はまったく自分たちのネガティブな思いは出しません。時々ジャクサの職員さんには不安を漏らすことがあるのですが、しかし我が子には一切見せません。そっと背中を押してやります。だからこそ兄弟そろって宇宙飛行士になることができたのだと思います。宇宙飛行士ではなくても、夢を実現させるための努力を惜しまない子育てができたのだと思いました。
この両親が、絶対に遺書を開くことがないように、今後の展開を見守っていきたいと思います。実写映画化も次作があるような終わり方だったため、それも期待しながら。
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