ぼうず……それは死人の考えや……。 血の通った人間が金持ったら、そうは考えん。 10人中、9人は考えなくなる……損を承知で人は生きられんのや。
梅谷哲
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「銀と金」は1992年から1996年まで連載された日本のギャンブル漫画である。掲載誌は株式会社双葉社の発行する成人向けの月刊漫画雑誌「アクションピザッツ」で、全108話が掲載された。作者は1996年から連載を開始し1998年に第22回講談社漫画賞を受賞、2009年に実写映画化もされた「カイジシリーズ」の作者福本信行である。1992年に1巻が発売された双葉社発行のアクションコミックスピザッツ版が全11巻、双葉文庫名作シリーズの文庫版が全8巻、アクションコミックス新装版が全10巻発売されている。 フリーター森田鉄雄は競馬場で謎の男平井銀二に声をかけられる。日当10万の仕事を持ちかけられた森田は不信に思いながらも約束の場所へ赴き、そこで平井が「銀王」と呼ばれる裏社会の大物フィクサーであることを知る。平井の能力に惹かれた森田は彼と共に悪党たちの世界へ足を踏み入れていく。 1993年から1997年にかけて実写のオリジナルビデオが作成された。また、2010年にマルホン工業によりパチンコが制作された。
「カイジ」や「アカギ」などなど福本先生の漫画は大好きなんですが、その中でも特に好きな作品は「銀と金」です。資金繰りに困った人たちに銀さんが金を融資するというところから物語が始まります。「どんなに真面目に働いても金をもっていなければ罪人」ということで、金を借りた彼らはしぼられるか奪われるか殺されるかというどれかの選択肢になります。金こそが力で、金を持っていないものはは罪人という世界です。福本先生らしい漫画で、とても読み応えがあり人間の闇の部分を上手に描いているという感じがします。リアリティのある漫画を読みたいかたにおすすめです。
格好良い! 格好良過ぎるぞ森田さん!!「薄い」という指摘や「オレは悪党になる……!」という言葉が実に格好良い。この巻では、一旦銀さんと別れて、中条さんと勝負をするところまで。銀さんの餞別の渡し方、その内容、これまたすごかったなー。その銀さんにこれほど見込まれているということが、主人公に成り代わってとても嬉しいというか。とりあえず一流ホテルのロビーに足繁く通うという選択もまた頭がいいなぁと思わせられる決定。そこから勝負に持ち込むまでの流れも見事。で、こういうところで必ずと言っていいほど裏切りは発生する(福本伸行作品あるある)。それさえ凌駕したところでのこの勝負。次に期待!
福本先生による、世の中で裏で動くお金や人々の話を描いた作品です。銀さんの下で裏の世界の仕手としての経験を積んでいく森田。彼がもがきながらも様々な経験を乗り越えて行く様は非常に見応えがあるのですが、その環境、何億円もの金があっさりと動いたり、政党や会社同士での裏取引がされていたり、と現実でも起きているのではないか、むしろ起きているのだろうと思われる出来事を見ていると何とも言えない奇妙な感覚を味わいます。このマンガは結局はフィクションですが、似たようなことは実際の社会でも起きている……。そう考えると森田の苦悩も現実感を持って我々読者に感じられてくるのです。
梅谷哲
森田が大金を銀行に預ければ金利で生きていけると言ったことに対する梅谷のセリフ
梅谷哲
仕手攻防戦でヘタをうつと今にも金がなくなりそうな梅谷が取引銀行相手に放ったセリフ
平井銀二
これから単独で仕事をする森田に向けて手紙に書いた教訓じみたセリフ