もう1度観たくなる!氷菓に落とし込まれた3つの魅力とは…?
青春学園ストーリーの中でうごめくミステリー
氷菓、というタイトルとこのストーリーにどう関連があるのだろうか。と初話を見ていて思った人は少なくないだろう。途中で”氷菓”というタイトルに触れる部分、つまりこの作品最大のナゾとも言える部分。そこに触れる一節がこれである。
「I scream. ”私は叫ぶ”」 千反田える
1回見た感想は何だこのミステリーもどきは。といった感想。暇ができもう一度氷菓を見て思った。
あぁ、なるほど。と。
その他にも愚者のエンドロールやクドリャフカの順番など沢山の伏線が回収されていく。その伏線を拾った上でもう1度見るということをして初めて氷菓の良さが分かったような気がした。
貴方も是非古典部と一緒にもう一度ナゾトキを体験してみてはいかがだろう。
京アニが創り出す綺麗で繊細な世界観
この作品、氷菓は京アニこと京都アニメーションが手がけている作品である。
作画がとても綺麗で繊細である。正直イラストを見るだけでも良い。と感じる人もいるのではと私は思った。特に、千反田えるが”気になること”が出てきた時の作画に注意して観て欲しい。
アニメとしては勿論、1つの芸術作品として”見る”だけでなく”観て”欲しいと思う。京都アニメーションが創り出す世界観を味わうことが1番出来る作品だと声を大にして言える。
全体的な雰囲気としては落ち着いていているが決して暗くはない。どこか安心できる。といった”古典部”が持つイメージを忠実に再現していると感じた。
作画だけでなく作中の音楽にクラシックを使うなどして奥ゆかしい雰囲気を出している部分にも感嘆した。
そのどこか懐かしげな雰囲気に惹かれてふとした時にまた”観たくなる”作品になっているのではないかと思う。是非時間が空いた時、その世界観にどっぷりと浸ってみるのも良いのではないだろうか。
登場人物達が持つ感情が出す距離感
この作品は千反田える、折木奉太郎、福部里志、伊原摩耶花が主な登場人物として描かれているが、私は特に折木奉太郎に注意して作品を観ていた。
・氷菓という言葉に託された叔父の真意
・文化祭の怪盗が1人だけにただ伝えたかったメッセージ
などなど伝えたい気持ちがある、でも伝えられない、伝わらない、伝えきれない。といった青春時代ならではの甘酸っぱさがすごく詰まっている。
折木奉太郎だけでなくその他の登場人物のキャラもすごく濃く、それ故にすれ違う。
青春は計算通り、思い通りには行かずつらく、もどかしいものなんだ。と改めて懐かしさも込めて感じられる。
それぞれの登場人物が持つ個性と良さ
この作品は日常モノとしてはかなりそれぞれの登場人物が持っているキャラがかなり色濃く出ている作品だと思う。
【折木奉太郎】
”省エネ主義者”
やらなくていい無駄なことはやらない、やるべきことは最低限にする。といった考え方を持っているのだがこれは思春期特有の一種の合理化なのではないかと思う。
そして折木奉太郎自身が誰にも傷付けられないようにという意味合いも込めた自分の心に土足で踏み込まれないためのバリアーだと感じた。
【千反田える】
”私気になりますっ”
このフレーズが口癖の折木奉太郎とは対照と言っても良いような天真爛漫でカラフルな女の子である。
この子の存在というものは折木奉太郎にとっては異質で省エネ主義者としてはさぞ扱いづらいものだっただろう。また、いくつかの人にとっては千反田えるのあざとさが鼻につくと感じる場面もあるだろう。
ただ、そのあざとさというものは折木奉太郎に足りない素直さだったり人と触れ合うことの大事さなどを補うのに必要な部分だったのではないかと私は思う。
【福部里志】
”データベースは答えを出してはいけない”
自称データベースを語り、かなりの情報通である。座右の銘は「データベースは答えを出してはいけない」折木奉太郎を支える相方、はたまた助手のような役割も果たすキャラとしての立ち位置かなと感じた。
性格も明るく、面白いが達観してるのか諦めているのかよくわからないといった印象を受けた。
【伊原摩耶花】
”私はそれを笑って読めるだろうか”
奉太郎の友人であり、里志のことが好きな女の子でもある。この作品の中では1番のしっかり者と言った印象。ちょっとしたヒントを拾ってくれる所がそう感じさせる。
と、このように長くなってしまったがそれぞれ4人には役割が合ってこの作品の青春には1人として欠けてはいけないと改めて感じた。
最後に…
見ていてテンポが悪く途中で見るのをやめてしまった人もいるだろう。実際のところ私自身もぐだっていて新鮮味がなくてあんまりだなぁ見るのをやめようかと考えたこともあった。
だが、これは日常の話。それもどこかの平凡な高校生4人の。ミステリーが絡むからこそ話に引きつけられるのであって私たちの日常は色が付いていないようで付いている。若さゆえに傷ついたり傷つけ合ったりしている。
キャッチコピーにあるように
”優しいだけじゃない痛いだけでもない青春”を忠実に描いている作品を見て青春独特の優しさの理由を知って見てはいかがだろうか…
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