これぞ果てなき男の夢!
今話題の言わずと知れた人気作品。原作には基本的には忠実だが、多少違うところもある。原作ではそこまで細かく描かれなかった尾到の最期をかなり美しく描き、人気キャラの王騎の最期に涙した人も多かったのではないだろうか。この二つのシーンは、かなり作画が粗い本作の中でも力を入れたのが伺えた。しかしアニメの時間の関係なのか、原作では戦で使われるだけの、この時代にしてみればただの乗り物である馬がいい味を出しているシーンも多く不覚にもホロリとさせられる部分もあるのにカットされ、個人的にがっかりした。しかしこの作品に出てくるキャラはなんて生命力に満ちて居るのだろうか。当たり前の要に首が飛ぶというのに恐れがない。主君の為に血を流すことも厭わず、己の夢の為に、愛する人の為に命を燃やす。今の時代に生きる私たちには到底考えられない。理解すらできないと思うのに何故こんなに惹かれるのか。それはきっと私たちの根底には、本能のように己が何処まで行けて何処にたどり着くのか知りたい探求心や好奇心のようなものが燻っていて、でも時代がそれを許さず、どこか身の程外れた夢を追う事を嘲笑う風潮があって、知らぬ間に抑圧された願望が、命懸けで夢を追うこの作品のキャラクターに羨望し投影し読者の血をたぎらせるのではないだろうか。回りくどい事を書いたが要は人間の、特に男の夢なのだ。この作品は。どこか平和なのに身動きが取りづらい現代に閉塞感と息苦しさを感じている若者に、私はこの作品を強く勧める。
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