砂の妖精の評価
砂の妖精についての評価と各項目の評価分布を表示しています。実際に小説を読んだレビュアーによる評価が1件掲載中です。
各項目の評価分布
砂の妖精の感想
イーディス・ネズビット『砂の妖精』レビュー
毛むくじゃらの妖精この物語を紹介するのに、まず避けて通れないのは「砂の妖精」の姿、外見について語ることである。語るというよりツッコミを入れるというべきか。主人公の子供たちの前に現れるのは、「いや、え? 妖精? そんなので?」と言いたくなるような姿の生き物である。砂利とり場の砂のなかに眠っていた、サミアッドと名乗るその「妖精」は、毛むくじゃらでクモのような体型、カタツムリのような目、こうもりのような耳、猿のような手足を持ち、気難しい老人のようなしゃべり方をする――実際、何千年も生きてきたらしい――何とも奇妙な存在である。妖精という言葉からついつい、ティンカー・ベルのような可愛らしい姿を思い浮かべている読者は、初っ端からこの意外性にがっしり心を掴まれる。砂の妖精サミアッドは、一日に一つ(とはいっても何だかんだ融通が利くのだが)願いごとを叶えてくれる。しかしその願いごとの効果は、後述する「ル...この感想を読む