葡萄と郷愁の評価
葡萄と郷愁についての評価と各項目の評価分布を表示しています。実際に小説を読んだレビュアーによる評価が1件掲載中です。
各項目の評価分布
葡萄と郷愁の感想
女性にお勧め
『葡萄と郷愁』、タイトルがキーワードになっている。日本人女性、ブダペストに住む女性、2人の女性が人生の岐路で悩み決断する話。女性の心の揺れが丁寧に書かれている。人生の岐路に立った時、人は何を以って決断するのだろうと考えさせられた。特に女性は、結婚や家庭に左右されがちだ。たとえ現代であっても。日本人女性は、自由な日本(出版当時はバブル期?)・祖国からの脱却を選択し、ハンガリーの女性は、自由な国への移住を選択せずに不自由な祖国に残る。どちらも選べる状況にある時、なぜそちら側を選ぶのだろう。捨てたいもの、捨てられないもの。郷愁という言葉には、「故郷」と「過去への気持ち」という意がある。彼らにとっての「郷愁」は後者だったのだろう。おでん屋で岡部が言った台詞が印象的だった。「目に見えないものがいっぱいあるんだよ。迷うな迷うな。必然だよ。」