魔女の宅急便 その2の評価
魔女の宅急便 その2の感想
『空を飛ぶ』以外の魔法
スタジオジブリで映画化された『魔女の宅急便』の原作、全6巻の2巻目だ。1巻で独り立ちを迎え、新しい街で『仕事』を始めたキキのその後が描かれている。映画の中でキキが使える魔法は『ホウキで空を飛ぶ』ことだけだったが、原作の中でキキは他の魔法を少しずつ習得していく。ここで描かれる『魔法』は怪しげな呪文を唱えたり、謎の材料を使って秘薬を作ったり、というような“ハリー・ポッター的な魔法”ではない。それは、梨木香歩の『西の魔女が死んだ』に登場するおばあさん的な、脈々と受け継がれてきた知識だったり、自然を読み取る力だったりするような、『知恵』と言った方がしっくりくる魔法だ。キキと、街の人達との交流が微笑ましく暖かい。作品中に登場する『中心点行方不明病』が、幼い頃妙に頭にこびりついて離れなかった。もしかしたらその頃からずっと、「中心点」を探し続けているのかもしれない。