つむじ風食堂の夜の評価
つむじ風食堂の夜についての評価と各項目の評価分布を表示しています。実際に小説を読んだレビュアーによる評価が4件掲載中です。
各項目の評価分布
つむじ風食堂の夜の感想
こんなにきれいな小説があるなんて(本作にぴったりの一曲を添えて)
こんなにきれいな小説があるなんて種も仕掛けもございません。そこにあるのは、午後6時に開店するパリの裏町にありそうなビストロ風食堂。お客さんはいつも顔なじみばかり。この小説は、そんな月舟町の十字路の角にある、どこか懐かしい雰囲気のつむじ風食堂に集う“先生”と、お客さんを描いたたわいないお話だ。こんなにきれいな小説があるなんて。本作を読み終えて、最初に感じたのが、これだった。つむじ風食堂に出てくる料理―クロケット、ステーキ、オムライス、サーモン定食などなど―はとても美味しそうで、個性派揃いの登場人物―おしゃべりな帽子屋さん、イルクーツクへ星を描きに行きたい果物屋さん―も魅力的。“先生”と奈々津さんとのオレンジを交えた、いい大人の淡い恋愛も素敵。どこか遠くの離島にぽっかり広がった世界のようで、なんだかすべてが夢の中のつくりごとみたいで、最初から最後まで、やさしい言葉でていねいに紡がれた物語だっ...この感想を読む