そりゃもちろん、だいたいが時間のむだ、物笑いのたね、役立たずのごみでおわっちまうだろうけれど、でも、きみが本気をつづけるなら、いずれなにかちょっとしたことで、むくわれることはあるんだと思う。
ハツカネズミ
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とにかく何にでも夢中になってしまう主人公「ジュゼッペ」物語の主人公はジュゼッペ。彼こそがまさに「トリツカレ男」なのです。著者であるいしいしんじさんの文体や世界観はとにかく独特で、まるで外国の小説を読んでいるような気分を味わわせてくれます。「トリツカレ男」も漏れなくそう。何にでも夢中になって、そればっかりしてしまうそんなジュゼッペの行動を「とりつかれる」と表現するのはいしいさんならではだと思います。そして、それは物事や事象に対してだけはないのです。この物語の根幹となる「とりつかれ」は女性への恋心になります。「恋は盲目」とは言ったもので、好きになると目の前のこと以外見えなくなってしまう。さらには、相手のためなら何でもしてあげたいし、出来る気がしてしまうものです。「好き」と一言で片付けるのは簡単ですが、あえて「とりつかれている」と表現して独特のリズム感を生み出しています。ただのラブストーリー...この感想を読む
ハツカネズミ
一度物事にハマったら取り憑かれたようにそれだけしかやらない主人公ジュゼッペに感心した場面