少年群像劇の美
少年だけが持てる純粋と狂気古屋兎丸といえば少年少女が巻き起こすブラックな群像劇を繊細なタッチで描くことが特徴であるが、その中でも本誌は顕著にその傾向が出ているのではないのだろうか。本誌は同作者の「ライチ☆光クラブ」のサイドストーリーであるが、本編を邪魔しない、むしろ伏線を張ってあったり、個々キャラクターの個性に焦点を当てた奥深いものとなっている。古屋氏が得意とする、子供ならではの純粋がゆえの愚かしさ、残酷さ、その中に入り混じった軽妙な可愛らしさが全面的に描かれており、ブラックな世界観の中にクスリと笑えるような場面も魅力的な内容である。特に、給食費を盗んでクラスメート全員に疑われたり、仲間はずれをしたり、陰口を叩いてみたり子供特有の残酷さ、子供らしさそのものが妙にリアルでグロテスクを感じてしまうほどのものがここにはある。貧乏な子、オカマの子、秀才の子、暗い子。それぞれの個性をここまで引き...この感想を読む
4.54.5
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