星河万山霊草紙の評価
星河万山霊草紙の感想
自立したあとにこそ大切なものに気づく
世界観が憧れ1000年を超えて生きるって、人間にはできそうもないから憧れそのもの。だが、物語にすると、神秘的で、長いが故のせつなさも感じさせる。この物語は長く存在し続ける木の精霊ほおずきと、彼女に恋した人間の一歩を中心として進む物語だ。木の精霊(こだま)に何ができるかと言えば、それは草木を豊かに元気にすること。それ以外は、人間の世界をそっと見守っている。特徴的なのは、人間と結婚することができるほど実体化していること。お話しできる・存在を感じることができる、などが精霊の定番のように思うが、まさか人間と姿かたちまったく同じで存在している精霊なんてね。ずいぶんと都合が良すぎる気もする。展開的にも、普通の恋愛少女漫画って雰囲気である。ただ、この関係性から、願っても結ばれないこともあるということ、そして“生まれ変わってもそうありたい”とシンプルに願うことができるのが、気持ちが良いと思う。とても爽やか...この感想を読む
あり得ないけどせつなさ抜群の物語
作品背景樹齢1200年のケヤキ。その木の精霊ほおずきは町の最後の木霊(こだま)として、今も人の世界を見守り続けている。大昔は木霊と人が結婚することが珍しくなく、木霊の草木を元気にする力(起こしのちから)を受け継いだ人間もたくさんいた。しかし今では一歩のおじいちゃん、お母さんくらいしかその力を十分発揮できないくらい、木霊と人は離れ、時は移ろっていた。そんな中でも、ほおずきの血を受け継いだ一歩は、小さなころからほおずきが大好きで、いつか結ばれたいと思っていた…こんな感じで、いきなり禁断の愛でしたね。血のつながった家族との恋なんて…びっくりでしょう。木霊と人間の生きる時間は違う。木霊のほおずきは美しくそのまま、人は老いていく。このあたりも人と自然の違いを表現しているなーと思います。人は次々生き急いでいるかのようだし、自然はどんと構えてそこにずっと在る。でも確かにお互いが寄り添って、協力して生きて...この感想を読む