間宮兄弟の感想一覧
江國 香織による小説「間宮兄弟」についての感想が4件掲載中です。実際に小説を読んだレビュアーによる、独自の解釈や深い考察の加わった長文レビューを読んで、作品についての新たな発見や見解を見い出してみてはいかがでしょうか。なお、内容のネタバレや結末が含まれる感想もございますのでご注意ください。
仲が良い兄妹
これだけ仲が良い兄弟が居たら、結婚出来ないと思います。兄弟の絆が強過ぎて、間に入って行けないだろうなぁと思います。でも、そんな事は気にしないのが間宮兄弟なのかも。映画を観て、小説を読み、世界観が一緒だなぁと感じ、やっぱり、家族って強いんだろうなぁと感じました。好きな作品です。でも、結婚もしないで、兄弟2人で遊んで暮らして行くのかぁ…と思うと少し切なくなりました。そんなこと間宮兄弟は、きっと全然気にしないんでしょうね。本当に面白い作品です。なかなか、不思議な読み応えのある一冊で、映画でも小説でも世界観が同じで安心感があります。お勧めです。
キモイ?かわいい?
30歳を過ぎても独身、恋人がいたこともなく、そもそも恋人候補にもなれない間宮兄弟。多分、身近にいたらキモイ!って思っちゃうけど、江国さんが書くとなんだか癒しキャラ。全然行動的ではないけれど、この二人の、暇つぶしの上手さは見習いたい。今の時代、派手でお金がかかって自慢できるような遊びばかりがもてはやされているけれど、間宮兄弟のように、ジグゾーパズルやカレーパーティーで楽しめる心も大事だと思う。社会の情報に惑わされず、自分たちの好きなことをやって楽しく生活していくのは、簡単そうでなかなか難しい。でも幸せって、こうゆうなんでもないことの積み重ねなのかも。
「イタイ」兄弟だけど、ほっこり温かい。
30過ぎても独身のイケてない間宮兄弟。もちろんモテる訳がありません。世間から見たら、オタクっぽかったり、キショかったりする、そんな「イタイ」兄弟をほっこり温かい感じで描いています。間宮兄弟は仕事も趣味も一生懸命です。浴衣を着て花火を楽しみ、カレーパーティで客をもてなし、冬至にはカボチャを食べ、柚を浮かべてお風呂に入る。母親の誕生日は一緒に祝う。週末はジグゾーパズルで夜を明かすなど。2人で誠実で快適に仲良く暮らしています。決して華やかではないけれど、他人の目とか下らないことにしばられず、自分のペースでちゃんと生きていることはとても幸せだと思いました。彼らの部屋はとってもまったりと居心地良さそうなので、私もパーティにおよばれしてみたいな。
こんな兄弟、いたら友達になりたい。
佐々木蔵之介さんが兄、ドランクドラゴンの塚地武雅さん弟役で映画になった作品です。30代・独身・ちょっとオタク気味・・・だけど、毎日を一生懸命に、楽しく生きている。兄は弟のために、弟は兄のために、お互いを認めて思いやって母親を思いやって、まっすぐ生きている。好きな女性ができたら、一生懸命想う。けれど迷惑はかけない。そして好かれようと努力する。結局はうまくいかなかったりすることもあるけれど、兄弟がいるから大丈夫。大きな出来事はないけれどこんな風に真摯に毎日を生きていけるといいな、と思わせてくれる肩の力がふっと抜けるような作品です。初めて読むとサラっと流して読めてしまうのですが何かの時に、ふっと思い出して読みたくなる。いつまでも手元に置いておきたい作品です。