野ばらのあらすじ・作品解説
「野ばら」は林真理子による長編小説で、「週刊文春」に連載後、2004年に文芸春秋より単行本化された。 物語の主人公は、宝塚歌劇団の女優として活躍する千花と、ファッション雑誌のフリーライターとして働く萌の、2人の親友同士である。千花は歌舞伎界のプリンスであり将来を嘱望される路之介と、萌は偶然の出会いにより離婚した父親と同じ歳で妻が末期がんで闘病している映画評論家・三津谷と不倫の恋に落ちることになり、このそれぞれの恋愛模様が主軸として描かれている。千花は路之介との結婚、そして宝塚のトップスターを夢見ていたが、路之介の政略結婚が決まるとともに、スターへの道も閉ざされ、ついには宝塚を退団し女優として歩み始める。そして萌は、三津谷の妻の死をきっかけに一度は別れを決意するも、母親との関係を見つめなおし、新たな関係を築き始めたことが匂わされるところで、物語は完結する。 また、随所に、宝塚歌劇団や歌舞伎界、ファッション業界などの華やかな舞台裏や内情が描かれている。
