日蝕・一月物語の評価
日蝕・一月物語の感想
文章力に注目
本書の特にデビュー作ともなった「日蝕」で作者は一躍有名人となって文壇にデビューし、時の人になりました。日蝕は発表された当時も読んだものですが、今読んでもやはり文章の面において印象が強いです。鴎外などの作品にも劣らない程度の、当初の擬古文は、大学生であったということを考えれば大したものと言えるのではないでしょうか。しかしその分、内容となるとあまり感心しない点があります。ヨーロッパの修道僧やオカルト的なギミックなども出てきますが、この辺はちょっと中世ファンタジーっぽい味わいがありますが、あまり楽しめませんでした。文学的なテーマとしては果たしてずっとあとまで残る作品かというと、文章力などの外形的な面での魅力に頼ることとなるのではないかと考えます。