ツァラトゥストラのあらすじ・作品解説
ドイツの哲学者F.V.ニーチェの代表的な著書。原書の発行年は1883年であり、日本では光文社や岩波書店から邦訳が出版されている。題名の後に「かく語りき」「こう語った」と続く事もある。 「神は死んだ」と叫び、自己克己による驚異的な精神力を得た「超人」への憧憬を描く一方、無知蒙昧な一般大衆に対する痛罵と皮肉を全編に展開している。哲学書ではあるが小説のような文体で表記されている。各章は主人公の断片的な旅とそこで出会う人々との会話の形を取り、「超人」思想を広めようとする主人公が徹底的に拒絶された挙句人々を侮蔑して去っていく、という展開で進む。各所で主人公の自問自答の形を取る事でニーチェ自身の思考の過程を示し、時に比喩や例え話を挟み噛み砕いて解説する、といった読者理解への配慮も為されている。 なおツァラトゥストラとはゾロアスター教の始祖のドイツ語表記であるが、同書の思想はゾロアスター教によるものでは無く、ニーチェ自身の思想である。
ツァラトゥストラの評価
ツァラトゥストラの感想
詩人哲学
この本ではツアラトゥストラが10年間山に引き籠った後に下界に下りたとあるがこれはまさしく仏陀と共通しているのである。そして、最近の研究ではニーチェが仏教や儒教の本を読んでいたことが判明した。まずこの話は隅にのけて続けると印象深いのが綱渡り師がロープを渡って歩いている途中で落下して死んでしまった時にツアラトゥストラは彼の遺骸を抱きかかえ「おお、この世で最も困難な仕事。それを君はやってのけたんだ。この様な芸当こそ真面目に見る必要がある。」と述べ、彼は遺骸を埋めると次の街に進んだ。ここで補足であるがヘビと鷲が出てくる時点で相当に宗教に固執しているのが分かるということだけ付け加えておく。