しょんぼり温泉のあらすじ・作品解説
小田扉氏によるマンガしょんぼり温泉はジャンプスクエアにて連載された、廃れた温泉街を舞台にした作品である。 諸堀温泉街に住む中学生のまきと小学五年生のたかひろは、オーナーが夜逃げして潰れてしまったホテルを見て、町の行く末を按じていた。次々と潰れゆく温泉街に周囲の大人たちは無関心であり、まきはそんな大人たちを見て、「町心中」と呼び、悪気のない大人までも堕落の道へと引きずり込む現状を嘆いている。 お食事兼、素泊まりを経営する家庭で育つまきとスナックを経営する家庭に育つたかひろは、子分格の子どもたちを引き連れ、町の活性化を図ることに。 町を盛り上げようと張り切るまきたちであったが、20年前に作られた観光マップには、14~15年前にすでに壊れてなくなった橋などが掲載されており、新たに観光地として乗せることが出来るスポットも期待できないという現状を突きつけられてしまう。そんな中、素泊まりにやって来た一組のカップルを観光案内したことにより、まきの中で何かが変わり始める。
しょんぼり温泉の評価
しょんぼり温泉の感想
ジャンプSQの隠れた名作・『しょんぼり温泉』
とってもしょんぼり、だけど“わかる”筆者は温泉旅行にいくのが好きだが、『しょんぼり温泉』には地方の温泉地のしょんぼりがとてもよく表現されていて興味深い。例えば、錆にまみれ塗装のはがれた汚い看板、集客を諦めたやる気のない食堂、透けて見える地元民のなれ合いと商魂のなさ……。『しょんぼり温泉』はまさしく、地方のさびれた温泉地の“生き写し”ならぬ“描き写し”なのである。こんな温泉地、行きたいけど行きたくないと思わせてくれる独特の魅力を放っている。作者の小田扉は『団地ともお』で有名な漫画家であるが、すっかり筆者は独特の空気感のファンになってしまった。単行本数冊で連載が終わってしまったことが少々残念である。創刊してまもなくのジャンプSQは幅広い読者層を探るためか、ジャンルを問わず色々な漫画が連載されていたのだが、最近ではこうした色味がなくなってしまってきているのが寂しい限りである。しょんぼりするには...この感想を読む