母のはなしの評価
母のはなしについての評価と各項目の評価分布を表示しています。実際に小説を読んだレビュアーによる評価が1件掲載中です。
各項目の評価分布
母のはなしの感想
著者の母の話。小説風に。
読んでいるうちに、前に読んだ、「あたしが帰る家」の、家庭に出てくる、お母さんの立場の話だという事に気付きました。という事は、このあかねという娘は、著者の事で、母であるハルエは、著者の母を指すのですね。その他にも、今まで読んだエッセイの母の事を書いた部分を小説化した感じで、既読感がすごかったです。確かにネタとしては面白いけれど、こうも重なると、どうかなあ…と思いました。少女だったハルエが、ろくでもない男である、絵描きのタケシの妻となり、あかねとヒロシを生み、育てるまではまだ良かったが、仕事で成功したあかねに猛烈に金銭をたかって生きていく様は、あまりにも自分勝手で、自己中心的、で驚きました。それを許すあかねにもむかつく位でした。「自分はいつもすべてよし」というハルエの性格が、最後に、多少の美点に見えるように描いてあって、少し救いがあったので、良かったです。