菊次郎の夏の感想一覧
映画「菊次郎の夏」についての感想が4件掲載中です。実際に映画を観たレビュアーによる、独自の解釈や深い考察の加わった長文レビューを読んで、作品についての新たな発見や見解を見い出してみてはいかがでしょうか。なお、内容のネタバレや結末が含まれる感想もございますのでご注意ください。
テーマソングが大好き☆
映画よりも、久石譲さんの“菊次郎の夏”のテーマソングを先行して知っていました。 ビデオのジャケットも、可愛い少年の写真で、北野映画は、ヤクザ系の物を想像していたので、今回は可愛い少年の話なのかなー・・と拝見すると、やはり、ヤクザの内容は絡んでましたが、チンピラ中年の北野武演じる菊次郎と、少年正男の、縁もゆかりもない2人が除々に絆を深めていくお話。菊次郎は、はじめは本当どうしよもない大人といった印象でしたが、なんだか憎めない人でした。 正男が実母に会いに行き、目撃した悲しいシーンは、心が痛ーくなりましたー。。まだ小学生には悲しい現実だただろうな。 でも、きっととっても悲しい思い出だけど、菊次郎と2人で旅したこの夏は、正男にとって忘れられない夏の出来事になったはず☆ 久石譲さんのメロディーが優しく響きます♪
菊次郎が微笑ましい
もう少し前(みんな〜やってるか!の頃)の作品かと思っていたら、HANA-BIの後に公開された作品だったのですね。HANA-BIでぶつけられなかった温かい気持ちを存分に表現していると感じます。正反対だけどどちらも違った良さがあるような。少し抜けている菊次郎が憎めません。チンピラだからいい加減なところもあるけれど、絶対に子供を傷つけてはいけない、そうならないための立ち回りが微笑ましく感じます。ラストにクスッと温かい気持ちになれるのは、それまでの北野作品では珍しいと思います。主人公の心情を考えたり、人間の醜さを見せつけるような作品もいいけれど、こういった作品も巧いですね。
北野武のロードムービー
北野武監督、主演作品です。北野武とロードムービーはあまり繋がらない気がしますが北野武流のロードムービーになります。フーテンのチンピラを演じる北野武が菊次郎と出会い、菊次郎の母を訪ねる旅を描いたお話。各地で繰り広げられる出来事はどれもでたらめ。どちらかというと北野武の方が子供に見えます。しかし北野監督の憎い演出と、エッヂの効いたシニカルな笑いでどのシーンも素晴らしい完成度です。所々に北野武ゆかりのキャストも見られます。その配役がまたグッド。井出らっきょやグレート義太夫なんかは演技と役者と呼べないような立ち回りですが、それが返って味を出し、映画に最高のエッセンスを加えている辺りは、さすが北野武といったところ。菊次郎の母絡みのシーンは北野武流の暖かみがありホロッときてしまう場面も。非常におもしろく、北野監督にしか撮れない唯一無二なロードムービーです。
音楽が有名ですね。
久石譲さんの音楽が大変有名な作品です。誰もが知っているあの曲ですね。武さんの作品ですが、いつもの暴力メインとは違い、少しほんわかムードで物語が進みます。母親を探す子供を連れての日々が描かれています。この子供を連れていくおっちゃんが、なんともいい味を出しています。気になるおっちゃんです。個人的には、競輪場でのシーンが好きですね。子供も、気が付けば巻き込まれて、巻き込まれて、その結果・・・、という落ちまであって面白いですね。最後の最後は、武さんらしい終わり方。現実を突き付けて、なるほど、という感じでしょうか。音楽もいいですが、物語も良いです。