マルサの女の感想一覧
映画「マルサの女」についての感想が5件掲載中です。実際に映画を観たレビュアーによる、独自の解釈や深い考察の加わった長文レビューを読んで、作品についての新たな発見や見解を見い出してみてはいかがでしょうか。なお、内容のネタバレや結末が含まれる感想もございますのでご注意ください。
金と欲望と強い女
監督は伊丹十三、主演はその妻宮本信子。芯の強い女性を演じさせて宮本信子さんの右に出るものはいないだろう。不撓不屈の闘士である女性国税局査察官(マルサ)を彼女が好演する。悪役の息子が鉄道自殺しようとする(ように見える)のを止めようとして、観客側に全力疾走するシーンは観ている者の心を奮い立たせるところがある。悪役の山崎努も深い味わいのある演技で印象深い。金銭欲に憑かれた悪徳企業家だが息子のことに関しては人間的な執着を見せる。伊丹監督の作品は世俗的なものが多く、この作品も「金と欲望」がキーワードだが、不思議と俗悪な感じは一切受けない。ちょっと癖があるが滋味豊かな人間ドラマだ。私はやや高踏的な人間だが伊丹監督作品は楽しんで観ることができている。
ザ・日本な大人の映画。
現代の日本映画って何?ともし他国の方に言われたら、サッと差し出したい一本です。伊丹監督・宮本信子主演作はこの後「マルサの女2」「ミンボーの女」「マルタイの女」と続いていくわけですが、皮切りのこの一作が、もっともよく緊張感を持ち、「言い過ぎない」よさを持っていると思います。脱税側の山崎努の狡猾なところ、査察側の宮本信子の喰えないところ、他の査察官たちも切れ味鋭く、かつモッサリとしていて、実にいい味わいがあります。鼻から下だけで怒る大地康雄、妖しい花のような岡田茉莉子などなど、昭和の名優、怪優が惜しげも無く出てきて、濃くてうれしい悲鳴です。モノローグを極力廃し、思わぬアングルからのカメラワーク、テーマ音楽は鳴るけれどしみったれたお涙頂戴の曲使いはしない。暗くにごった色調の画面に大人の色気を感じます。今では少なくなってしまった、昭和の大人の映画です。
日本を代表するサスペンス
かなり世界観が出てます。レトロな独特の視点がすばらしくよく表現されているのと、監督の意向が作品に出ている所が見どころだと思います。内容は国税の調査員の女が更に調査して脱税について調べあげていくストーリーです。話題作になりましたが、監督もよくキャストもかなり良く、この作品は色々と受賞していますが、最優秀助演男優賞をたしか津川雅彦などが受賞し話題作でした。本格的な内偵調査が始まる事になり。暴力団、政治家、銀行がからんだ大型脱税との戦いが始まリますが、なかなかこれも奥が深くこの女詳細んがかなり深いところまで首をいれてしまします。オススメです。面白いし笑えます。
銭を追う猟人税務署スピリッツ
マルサの女は1987年公開の日本映画、監督は伊丹十三。国税局査察部のまたの名をマルサという。名作である、これは映画好きにはたまらない作品。人間のするしぐさを伊丹は映画の中にそのまま丹念に再現してあります。テーマは脱税を扱い、主人公は眼をつけた相手の銭の動きを追う。シーツを数え、レシートを見て実際のお客として紛れこむ。大体何処の国でも税務署は嫌われています。その税務署員に、我々は見ていて心の底から、やれ、もっと取れと応援している事に気が付くことでしょう。伊丹監督は日本の女を描かせると、絶品です。働く母親でもあり、子供にレンジの使い方を電話で指示し、寝癖のついた頭で仕事に出る。こんな様子を映像で見せてくれる、上手いではないですか。心震えるマルサの女の母である一面をさりげなく出しています。終戦後に出た歌が「よいとまけ」この映画の時代はバブル味がします。働くキャリアを持つ母親が出てきた、そんな...この感想を読む
惚けた様相に眼光鋭い「マルサの女」
宮本信子が今年のNHKの朝ドラでヒロインの「おばあさん」役をやっておりますが、やはり月日を感じますね。マルサの女は、もう26年前の映画で、主演の宮本さんは女盛り、トボケタ色香を感じるほどでしたが、当の本人は紳士的捜査官の好一点であり、容貌はおかっぱ頭に寝癖があり、顔はソバカスで美人とは程遠い。 しかし、察知能力の第六感と執拗さ、ド根性は男勝りで、次々と脱税事件を解決してゆく。映画は、体制側である「マルサ(国税局査察部)」を女主人公にして描いたことが功を奏し、エンターテイメントの社会派ドラマで、日本の映画史上でもてハマった映画となりました。脇役人も素晴らしく、異色の個性派スターがズラリ、体制派の津川、小林桂樹、脱税派の山崎努のビッコ姿が良く、それに伊東四郎、他にも大地康雄、橋爪功、重鎮役者の芦田伸介の迫力と小沢栄太郎、それに懐かしい岡田茉莉子監督は主役の宮本信子の亭主・伊丹十三伊丹氏の監督...この感想を読む