マルサの女の評価
マルサの女についての評価と各項目の評価分布を表示しています。実際に映画を観たレビュアーによる評価が5件掲載中です。
各項目の評価分布
マルサの女の感想
金と欲望と強い女
監督は伊丹十三、主演はその妻宮本信子。芯の強い女性を演じさせて宮本信子さんの右に出るものはいないだろう。不撓不屈の闘士である女性国税局査察官(マルサ)を彼女が好演する。悪役の息子が鉄道自殺しようとする(ように見える)のを止めようとして、観客側に全力疾走するシーンは観ている者の心を奮い立たせるところがある。悪役の山崎努も深い味わいのある演技で印象深い。金銭欲に憑かれた悪徳企業家だが息子のことに関しては人間的な執着を見せる。伊丹監督の作品は世俗的なものが多く、この作品も「金と欲望」がキーワードだが、不思議と俗悪な感じは一切受けない。ちょっと癖があるが滋味豊かな人間ドラマだ。私はやや高踏的な人間だが伊丹監督作品は楽しんで観ることができている。