ラテン・アメリカの某国のファシズム的な警察国家の闇を衝いた、コスタ・ガヴラス監督の実録政治映画の問題作「戒厳令」
ギリシャの軍事独裁政権の実態を暴いた「Z」、ソ連のスターリニズムを痛烈に批判した「告白」に次いで、社会派の俊英コスタ・ガヴラス監督が撮ったのが、ラテン・アメリカの某国を題材にとり、背後にアメリカの力を負いながら、ファシズム的な警察国家体制を敷いている国の実態を生々しく描いた、この映画「戒厳令」なのです。この作品は、コスタ・ガヴラス監督お得意の実録ものであり、1970年8月10日にモンテヴィデオで誘拐され、銃弾を頭部に受けて殺されたイタリア系アメリカ人、ダン・アンソニー・ミトリオーネをモデルにしています。ガヴラス監督は、当時の新聞、公式文書などありとあらゆる資料を調べつくし、ミトリオーネという男が受け取っていた月給の金額まで知るほどだったということですが、そういう正確な事実を基にしたという強みが、この映画にはあると強く思います。トップシーンの戒厳令下の街頭の場面が、まず非常に冷酷で薄気味悪いムー...この感想を読む
4.54.5
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