すぐで半年、よかろで2年、審議審議で5,6年
三浦俊助博士
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モスラが空中からゴジラに襲いかかるシーンは、構図・手法などがミニチュアを操っているとは思えないほど良く出来ています。空飛ぶ怪獣と陸の怪獣の戦いを描いて、これほどリアルに激闘するシーンはあまりないのではないでしょうか。監督・本多猪四郎、特撮・円谷英二、音楽・伊福部昭のチームワークがまさに完成されていると言えます。卵からモスラが生まれてくるシーン、吹き飛ぶテント、流される漁船などの嵐の描写、蒸気が噴き出し尻尾が起き上がるゴジラ登場のシーンなど、特撮部分の見どころが多い作品です。また今では当たり前ですが、合成シーンも多く、特に小美人(ザ・ピーナッツが演じる)が道を走ってくるシーンなどは、今見ても視覚的に納得させられてしまいます。
当時付き合っていた彼氏がゴジラが大好きで、ゴジラシリーズばかり借りていました。とくに私はモスラが出るのしか見なかったのでよく怒られてました。モスラってすごいと思ったんです。最初は弱いし幼虫からサナギになってと成虫まで殺されたらアウトだよと、ハラハラで毎回見てました。モスラが成虫になるまで、かなり時間がかかるために、ゴジラにやられそうになったり、サナギになって戦えない状態でも、的であるゴジラは容赦ないし私はゴジラやめてと毎回叫んでました。いいタイミングでギリギリのとこで成虫になってゴジラと戦うところは、泣ける瞬間です。あんだけ時間かけて成虫までなっても、殺されてしまってはだめとよく泣いた作品です。
今の視点から見てしまうと、表題のように「モスラ最強伝説」始まりの映画……という程度にしか思えませんが、改めて見返すと、随所に挑戦的な演出が盛り込まれた意欲作だったことが伺えます。例えばモスラの卵の扱い方や、それらとゴジラの絡め方。モスラ成虫と幼虫の親子関係を強く描いたのも、前作「モスラ」ではあまり見られない部分です。また、その後生まれてくるモスラが双子だというのも、当時の状況を考慮すればかなり斬新な設定ですね。図らずもゴジラは今作で(怪獣対決という面から見れば)敗北を喫するわけですが、元々この映画自体が、タイトルにもあるように「モスラ」を押すために作られたのだと思えば、むしろそれでもなお「ゴジラ」側が強い人気を誇っていたのだという象徴でもありますね。
三浦俊助博士
ハッピー興行社に取られたモスラの卵を取り戻すための方策を話し合っている際に出たセリフ。 合法的な手段、公の機関に訴え出ても時間ばかりかかって問題が解決しない事を嘆いている。
酒井市郎
モスラの卵を取り戻すためのキャンペーンを張り、連日筆を振るうがまるで効果がない事にいら立ち、絶望し『もう記事を書くのをやめる』と言った際にそれを聞いたデスクから『なら君の負けだな』と言われた事に反論して発したセリフ。
丸田デスク
『モスラの卵を元の場所へ戻そう』キャンペーンが不発に終わりふてくされている酒井市郎(主人公)を諭す場面でのセリフ。