公序良俗に挑戦したひとりの芸人の栄光と悲惨を、鋭利なドキュメンタリー・タッチでクールに捉えた秀作 「レニー・ブルース」
この映画の主人公レニー・ブルースが40歳で死んだのは1966年の8月ですから、もう51年も昔のことになります。彼が異端の芸人、エンターテイナーとして脚光を浴びた5年ほどの間に22回も逮捕され、最後は麻薬中毒と結核で心身ともにボロボロになって、一文無しで死んでいったこのひとりの芸人の短い一生とは何だったのか? -------。公開当時としても珍しかった黒白画面のこの映画は、レニー・ブルースの軌跡を鋭利なドキュメンタリー・タッチで再構築して、なかなか辛口でシニカルな傑作になっていると思う。もっとも、ドキュメンタリー・タッチといっても、それはレニーの言葉や裁判の記録が事実に基づき、また構成が関係者からのインタビュー取材の形になっているということで(ただ、最後にレニーの裸の死体が風呂場に転がっているスチール写真だけは本物ですが)、レニーをダスティン・ホフマン、その妻ハニーをヴァレリー・ペリンと、当時まさに脂の乗り切っ...この感想を読む
4.54.5
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