他人事という現実感と、純愛という違和感
ベトナム戦争に興味あり世代的に、ベトナム戦争という言葉は大人たちの忘れられない遺物として繰り返し耳に拾われていた。人間の闇が発揮される戦争というやつで、常に何かがこじれる戦争というやつで、一体何が起こったのか、ということに関して、関心をもつ人も多いと思う。ディエンビエンフーに描かれるベトナム戦争とは、年表のベトナム戦争である。作者がほしいのは暗黒と極限と混沌の舞台であり、おどろおどろしいものとしてたまたまあったベトナム戦争を選んだだけじゃないのか、という疑問が残る。面白すぎて破綻している何故舞台としての選択が不純に感じられるのか。それはキャラが面白すぎて、戦いが面白すぎて、恋愛まで出てくるからである。グェン朝の落としだねのキリングマシーンと恋に落ちて最後は地雷踏んで終わる(詳細は不明)、傍観者で自慰好きの日系カメラマン。大人の仮面を被った子供、みたいな弱さの露呈の仕方が幼児退行なキャラ...この感想を読む
4.04.0
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