深夜食堂の感想一覧
ドラマ「深夜食堂」についての感想が4件掲載中です。実際にドラマを観たレビュアーによる、独自の解釈や深い考察の加わった長文レビューを読んで、作品についての新たな発見や見解を見い出してみてはいかがでしょうか。なお、内容のネタバレや結末が含まれる感想もございますのでご注意ください。
めしやに行きたい。
「深夜」の「食堂」ならではの出来事深夜の公園でも無く、昼間の食堂でも無い。深夜に営業する食堂「めしや」だからこそ集まる人々、起こる出来事が非常にリアルに描かれている。その1人1人、ひとつひとつの出来事に小林薫さん演じるマスターが向き合う。その姿は不器用で口数も少ない、どちらかというとぶっきらぼうだけど温もりが滲み出ていて温かい。まるで、マスターが出すめしやのメニューそのものだと感じる。初めて観たときは単調なストーリーだと思ったが、その中に味わい深い隠し味が沢山あると次第に強く感じた。隣りの席の家族常連も、顔馴染みも、初めての客も、関係なく皆が家族の様に過ごす。特に話はしなくとも、ぴったり肩が腕がくっついてしまいそうな狭い店内が家族の関係のよう。みんなその距離も求めてやってきているようにも感じる。飾らないメニュー深夜食堂といえば、毎回出てくる一品のキーポイントとなるメニュー。どれも庶民的で...この感想を読む
自分は深夜食堂でなにを注文するのだろうか
配役の魅力このドラマは、安部夜郎による漫画をドラマ化したものである。漫画が魅力的だと、ドラマでそのイメージを壊さないようにするのは難しいことだと思うが、このドラマの魅力は、その世界観を壊さない、みごとな「配役」にあると感じる。特にマスター役の小林薫がいい。作務衣と前掛けで厨房に立つ後ろ姿、カウンターのテーブルを無心に拭く姿、シャイな笑顔で「いらしゃい」とかける姿。一話簡潔ドラマなので、かならずこれらのシーンが出てくるのだが、このシーンを見ると、ああ、今夜も、深夜食堂を見ているのだな、と思うと同時に、自分が、今夜も深夜食堂にやってきた、と錯覚するような気分になってしまう。いつもあるべきところに、あるべきものがある安心感、そんなマスターの存在感を見事に出している、小林薫の言葉少ないながらの渋い演技が、このドラマの何とのいえないいい味を醸し出しているのである。また、店にやってくる客の配役もい...この感想を読む
人生がつまらなくなったときに観ます
私は主婦で毎日毎日同じ時間に起きて同じようなことをして寝ると言う生活をもう何十年もしています。子供ができてからはさらに拍車がかかりハンコで押したような毎日です。あまりに同じ過ぎてよくわからないけど嫌気がさすことがあるのですが、そんな気分になったときに深夜食堂を借りてみるのです。深夜食堂とは夜の12時から開店して朝に閉店するお店で、お客が食べたいものを注文するとだいたい出してくれます。現実にはなんでも置いてある店なんてありえないのだろうけど、毎回テーマの食べ物があってそれにまつわる物語が1つ出来上がります。私がいつも眠っている時間にお店にやってくるお客、どんな過去をもっていて現在どんなことを思ってお店にきているのか、自分とまったく違う人生を送っている人たちに興味があるというかそういう人生も少しだけ味わってみたいという好奇心というかそんな気持ちで観ています。ヤクザやOL、会社員警察官おかま...この感想を読む
常連さんに加わりたくなる味わい深い人生模様と食べ物たち
原作の漫画に人気の日がつく頃から好きだった『深夜食堂』。そんな作品が名優小林薫をマスターにドラマとして実写化されると聞いた時は、嬉しくて仕方なかったです。ヤクザの龍ちゃんやゲイバーのベテランこすず姉さん、この二人の不器用な信頼関係と友情を描いた卵焼きとウインナーの描写です。私は泣いたのです。他にもゲストで「お!この人が!」と思わせる、癖のある俳優さんが多数登場してくれますし、嬉しい限りです。マスターと常連客の好みの一品を巡ってのエピソードをギュギュッと30分に集約したのがこのドラマ版の成功の秘訣なんだと思います。どの回も監督をされるそれぞれの監督さんの個性が際立っていますし、今どき珍しい人情味に満ちた安食堂を、さもそこに実在しているかのように演出するスタッフワークもすごいと思います。大好きな話は、バターライスです。岩松了演じる嫌味この上ない料理評論家の戸山とあがた森魚演じる流しが実は二人...この感想を読む