永遠の仔のあらすじ・作品解説
永遠の仔は、天童荒太による、長編書き下ろし小説で、発行部数は150万部を突破し、ベストセラーとなった小説である。 この作品は、児童虐待を受けた1人の少女と2人の少年が、大人になり運命的な再会をすることで起こりだす事件とともに物語が進んでいく。母親からの育児放棄などを受けていた通称モウルという少年と、たばこによるやけどを負わされるという身体的な虐待を受けていた通称ジラフと呼ばれる少年が、学校に併設された病院の精神科で出会った少女のために、病院イベントの登山で、少女に性的虐待を与えていた少女の父親を密かに滑落死させる。そしてその後、大人になり3人が再会してから起こる不可解な殺人事件により、3人の過去が浮かび上がっているという物語である。 2000年には第53回日本推理作家協会賞を受賞するなどミステリー小説として高い評価を得ているほか、ドラマ化もされ、全日本テレビ番組製作社連盟第18回ATP賞2001のドラマ部門最優秀賞を受賞している。
永遠の仔の評価
永遠の仔の感想
果敢なく悲しい物語の助長
この「ミステリーがすごい」国内部門第一位にも輝いた天童荒太の代表作であり、ドラマ化もされたことで、多くの人々の心をつき動かした。ストーリーは、3人の主人公、久坂優希、有沢梁平(ジラフ)、長瀬笙一郎(モウル)の過去から始まる。彼女らには、とある共通点があった。それが、悲しい児童虐待の記憶である。心の闇を共有する事で、生きた心地のしない日々を励まし合い、過ごしていた。彼女ら3人は、とある共通の、そして衝撃の秘密をもっていた。それが、優希の父親の死と密接に関わるものであった。児童虐待という社会問題がモチーフになっている。この作品は、悲しみと怒りとが混在する問題作である。
永遠の仔(1)
悼む人を読んで天童荒太にはまっているので読んでみました。文庫本で5冊と大作で大変読み応えのありそうな作品です。1巻はまだまだ序盤で主人公たちの出会いと再会のシーンとを交えながら彼ら自身や彼らの家族とのかかわりを説明している感じだが謎が多くこれからどういう風に進んでいくのかが楽しみ。彼らが精神を病まなければ始まらなかったこの物語。子供が精神病院に入れられるということがどういうことなのか。本人だけでなく周りの環境の作用が多いのだなと思わずにいられない。親は自由にできるが子供は親に振り回されるのだなぁと痛感。続きが読みたくてたまらない作品のひとつ。