撃ちまくれ頑固爺!
クリント・イーストウッドの渾身作『グラン・トリノ』ものすごーくオーソドックスに作られた、ものすごーくシンプルな映画というのがまず第一の感想です。基本に忠実に伏線を引いていて、場面ひとつひとつ、台詞ひとつひとつを無駄にしないからシンプルだけど味わい深い。カッコつけて「イーストウッドの渾身作」と前述しちゃいましたが、本音は映画を極めた者が迷いも躊躇いもなくただ職人の業を振るっただけといった印象が強いです。これは社会派映画ならではの宿命めいたものかもしれませんが、良く言えば「メッセージ性が強い」、悪く言えば「説教くさい」ですね。ちなみにこういう作品ってキネマ旬報なんかじゃ好かれるんです(笑)てなもんでイーストウッドの作品は観る前からハードルが上がっちゃうわけですよ。 しかしまあ撮り方が基本に忠実と言いますか。必要以上には説明しないので無駄がないと言いますか。 そりゃあ『硫黄島の手紙』のような画...この感想を読む
4.54.5