ほろ苦き自虐をこめつつ、心の故郷、魅惑の大都会ニューヨークに寄せる、やるせなくも心優しいラブレター
この映画の主人公は、むしろ男性だ。花も実もある、と言うべきか、疲労と胃弱持ちのと言うべきか。ともあれ42歳の中年男のインテリ俗物アイザック(ウディ・アレン)が、おかしくて、やがて哀しきニューヨーカーの、ほろ苦き自虐をこめつつ、彼の心の故郷とも言える魅惑のマンハッタンに寄せる、これは、やるせなくも心優しいラブレターなのです。ここで、このアイザックという中年男に関わる女たちに焦点を合わせてみると、この小男で、禿げあがった縮れ髪の、強度の近眼のユダヤ鼻の、どうひいき目に見ても風采のあがらぬ彼が、女性にもてるのはなぜだろう?いや、TVの脚本の売れっ子から、純文学に転向して奮闘中で、だが、はかばかしくないアイザックは、女房運には恵まれていない。最初の妻は、麻薬中毒となって離婚し、二度目の妻のジル(メリル・ストリープ)は、同性愛趣味がこうじて、さっさと子連れでサヨウナラをして、女友達と同棲中だ。この細面の痩...この感想を読む
4.04.0
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