ヤン的奇略とラインハルト的正攻法が結実させた大事業
ヤン的「枠外」の発想がアニメシリーズを走らせた「腐敗した民主主義」か、それとも「高潔な専制政治」か……、貴族社会や衆愚政治の問題点を鋭く描き出しつつ、様々なテーマと人間ドラマを絡ませ、壮大かつ重厚な戦争と日常を記していった「銀河英雄伝説」の素晴らしさは既に様々なところで語られていますが、本稿ではアニメ版に的を絞ってその歴史的な意義を探っていくことにしましょう。アニメ版銀河英雄伝説が始まった1988年当時、既にいくつものロボットアニメはありましたし、大人の渋みが滲むような作品も少なくありませんでしたが、そうした作品において語られているのはせいぜい、「戦闘」の現場であり、その上部ですべてを決裁していく「政治」や「歴史」までじっくり煮詰めた作品となるとほとんどありませんでした。まだあくまでアニメは子供が観るものであり、でなければ一部のマニアが観るもの、という空気は確かに存在していたのです。そ...この感想を読む
5.05.0
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