スター・ウォーズ/ジェダイの復讐のB級映画としての魅力
この映画は、もはや押しも押されもしない名作映画として世界中にその名前を轟かせる作品です。月日が流れ、映画の技術が今以上に進化したとしても、見るべき価値のあるSF映画の教科書のような存在として愛され、敬われ続けることは間違いありません。
しかしながら、そんなこの映画には、B級映画的な楽しみ方ができる部分も多くあります。これは、一作目、二作目がともにヒットし波に乗っていた映画作品としては少々異例なことかもしれません。ここでは、万人に評価はされないけれどSF映画らしい、娯楽作品らしい独特の魅力を持つ部分について見ていきたいと思います。
タトゥィーンでのシーンが長い
物語が一つの結末を迎えるにあたり、その前の段階で主人公の故郷が再びストーリーの舞台となるようなことは決して珍しくありません。しかしこの映画では、そんなタトゥィーンでのシーンがかなりの尺を使ってじっくりと描写されるのです。
冷凍されるハン・ソロから始まり、地下でのクリーチャーとの戦い、ジャバとの砂漠での決着まで、前作のエピソード5でジェダイとしての様々な能力を学んだルークには少々役不足ではないかと思ってしまうような敵に、銀河を支配する帝国を倒すという大筋からはあまりにも離れたシナリオが展開されます。ジャバと帝国は確かに若干の関係がありますが、ジャバを倒すことが帝国に大きなダメージを与えることにもつながる、というわけでは全くないのです。
しかしこのシーンは、見ている者にシンプルかつ感情移入しやすい状況を与えてくれます。「銀河の危機に立ち向かい民衆を圧政から解放する主人公」になりきるのは少々難しくても、「フォースの力やライトセーバーを使って地元を支配していた悪の親玉を倒すヒーロー」程度であれば、規模の小ささもあって想像もしやすいのです。
この後はダース・ベイダー、そして皇帝と対決するというようなシリアスで世界に与える影響も絶大な場面が続くため、この赤い星でのシーンはそこまで身構えずとも気軽に楽しめる、準備体操的な視聴者に優しい部分となっています。
イウォークに関する場面が多い
そんなタトゥィーンでの小競り合いが終わり、いよいよ帝国との全面戦争。けれどもそのために必要なデス・スターⅡのシールドを解除するために降り立ったエンドアで、主人公の面々は原住民であるイウォークに捕まり、紆余曲折あって協力関係を結ぶことになります。
イウォークは小さな二本足であるくクマのような存在であり、帝国軍との地上戦を盛り上げるのにはあまりにも可愛すぎる存在です。普通の映画なら、マスコット的な存在として少し顔を見せて交流した後すぐに退場することとなったでしょう。
しかしこの映画ではそうはいきません。エンドアでの戦闘が始まり、シールドを解除する最後の最後まで、小さなクマは画面に映り続けます。それも地の利を生かし巧みに帝国軍を翻弄し、立派に戦力として活躍するのですから驚きです。
しかしながら、シールドが解除できないと艦隊が全滅するという緊張感あふれる状況において、あえてそれを壊しかねないような小動物を画面に登場させ続けたのは、映画を作った人達の独特のセンスが光るポイントかもしれません。
最後は何の曇りもない大団円で終わる
名作の条件というわけではありませんが、どうも単純に勝った、負けたで終わる作品は好まれず、ほんとうにこれが正義だったのかといった葛藤や、次の争いの火種がくすぶるような描写など、何らかの形で結末を複雑にする映画が世界には多いように思えます。
スターウォーズでも一方の面でそれは正しく、死んだダース・ベイダーを火葬するという悲しい描写があったり、デススターが破壊され皇帝が死んだだけで巨大な力を持つ帝国軍は未だに健在であったりと、このエピソード6で全ての問題が解決され完全無欠の大勝利に終わったというわけでは決してありません。
しかしながらそういったシーンの描写が極力少なくなるよう、この映画ではおさえられているのです。死んだ人やイウォークの供養は短時間で終わり銀河はお祭りに包まれますし、帝国軍の次の行動なんて気にしないというばかりにそれに関する一切の描写もありません。今は大勝ちしたからそれでいい、とばかりに皆で浮かれ騒ぎ、前作前々作で死んだ登場人物も満足そうな笑顔でそれを見ている。特に師弟の二人は、過去の様々な因縁や問題、まるでそれらが全て解消されたかのような憑き物の落ちた表情です。出来過ぎと捉える人もいるであろう、素晴らしく綺麗にまとめられた大団円と言えます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。ここまで、スター・ウォーズ/ジェダイの復讐について、あえてそのB級映画として魅力的な部分を見てきました。
当然この映画には名作、A級映画的な部分が豊富にあり大衆の目はそちらに向きがちです。しかしながら、あえてB級であったり、少し変わった部分についても考えてみることで、より深く作品を楽しむことができるようになるのではないでしょうか。
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