金八の歴史の中で最も波乱万丈な第6シリーズ - 3年B組金八先生6の感想

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金八の歴史の中で最も波乱万丈な第6シリーズ

4.04.0
映像
3.5
脚本
3.5
キャスト
3.5
音楽
3.5
演出
3.5

目次

幸作、病に倒れる

「3年B組金八先生」全8シリーズの中で、金八先生が一番忙しかったのが、この第6シリーズではなかろうか。だって、最愛の息子、幸作の重病が発覚するのである。もう、これは学園ドラマではなく、その昔に流行った「ジェットコースタードラマ」と呼んでもいいくらいの、詰め込みぶりなのである。多分1回見逃したら次の回は何が何だかわからないくらいに、次から次へと事件、事件のオンパレード。息子が生死をさまよっているというのに、脚本家さんは待ったなし!金八先生に休息を与えないのである。普通だったら一年休職して、幸作についていてあげたかっただろうに。普通の父親ならともかく、坂本家は父子家庭。しかも幸作は死ぬかもしれない。それでも走り回る金八先生。ご苦労様です以外にかける言葉がないわあ。

傷心の幸作は身も心もボロボロになっちゃう。けれども、父ちゃんの鼻水ズルズルの訓話、そう、まさにあれを訓話と言わずに何という…をきちんと受け入れて生きる決意を新たにするわけなんだけれども、幸作を支えたのは父ちゃんと姉ちゃんだけじゃないよ。そう、元3B。健次郎とちはるちゃんをはじめとする元3Bのメンバーがしっかりこのシリーズにも登場するわけさ。健次郎ファンの私としては、めっちゃ嬉しいこと。だって、幸作とちはるちゃんと健次郎のいびつな三角関係が気になるんだもん。これ、スピンオフで書いてくれないかなあ。『タッチ』の南ちゃんばりにオンナに嫌われるオンナ、ちはるちゃんが健次郎とどうなったかが知りたいの。幸作生還のどさくさに紛れて抱きついてたけど、私は許さないからね。

あとさ、ほんのちょっと気になるんだけど、幸作は第5シリーズで途中からC組になったよね。B組のメンバーは坊主頭になってお見舞いに来ていたけど、どうした!?C組! 放送されてないところでお見舞いにきていたんだよね? そうだよね、北先生…。

主役は上戸彩ちゃん

幸作の病気の次に金八先生を悩ませたのは、上戸彩ちゃん演じる鶴本直のセクシャルマイノリティ問題。この番組からぐっとメジャーになって、世間にも受け入れられてきたんだと思っている。それくらい影響力があるんだよ、金八先生は。

私の娘の高校の入学説明会の時に、校長先生が「本校の制服はブレザーですけど、女子のズボンを認めています。同時に男子のスカートもOKです」と説明された。その時ね、誰も笑わなかったの。いい学校だし、いい社会になったなあと思ったよ。

上戸彩ちゃんの演技はとても良かった。世の中と自分に対しての不満と不安をよく演じ切っていた。ミッチーとのケンカのシーン、とても迫力があった。直が自分を男だと言い切った後の、ミッチーの馬鹿にしたような甲高い笑い声、素晴らしかった。10代の俳優さんたちが役に憑依している…いや、逆だわ、みんなそれぞれ、その役柄と一体になっていたよ…と私が演出家なら、一人一人抱きしめて褒めてあげたいと思ったさ。

予定調和で、3Bは直のセクシャルマイノリティを理解して仲良くなるんだけど、直がミッチーを自分の母親に紹介するセリフがまた素敵。「こいつが、みんなの前でぼくを男にしてくれたんだ」…泣くわ!

それにしても、鶴本直のお部屋は素敵だった。サンドバックもあって電子ピアノもある。リビングにグランドピアノもあったわ。パーティーの時のお料理も豪華だった。お金持ちなのね。いいわね。

政則の過去もヘビー

直と一緒に転校してきた政則もまた重たい秘密を持っている。金八先生は過労死しちゃうよ。この政則役の子は元ジャニーズなのかな。たいてい、キーになる生徒はジャニーズとか、名の売れてる子がおおいけれども、この子は知らなかったわ。てっちゃんの面倒をよく見てあげて偉かった。

親が刑務所にいるって、中学3年生にしたら絶対に知られたくない秘密だよ。でもね、金八先生と3年B組はそれさえも、受け入れる。まさに金八マジック。直の問題のあとはこちらが物語の胆みたいな感じだったけど正直、私はお腹いっぱいになっちゃった。ちょっと奇をてらいすぎかなあ。

家庭問題で悩む少年たち

その他のキーパーソンといえば、視聴者的には信太とタダシになるのだろうか。二人とも、育児放棄されている感じがしたよ。

信太は実家の工場経営が上手くいかなくて、親がケンカばかりでかまってもらえない感じ。母親が出ていったのち、後妻に入った女が気に入らない。15歳になっても、そういう感情ってあるんだなあ。寂しさと苛立ちをよく演じ分けていたよ。いつも聴いてた音楽は何なのだろう。後妻の女のヒステリックなところが面白かった。シングルマザーがやっと居場所を見つけてそれにしがみつく様子。

美味しいご飯作って、家を清潔に保ってくれる後妻…義理の母よりも、オトコにだらしなくて、ずぼらな実の母親の方がいいのかなーと少し疑問に思っちゃったわ。

一方、タダシは家業の総菜屋が忙しくて、お兄ちゃんとアパート暮らし。直のお部屋とは雲泥の差。しかも、そのお兄ちゃんがクズ。お兄ちゃんがクスリに手を出して、アパートから火事を出しちゃう。その時、炎の中でタダシに頼まれて窓際のカナリアだかインコだかを助けに行こうとした金八先生に「鳥なんてどうでもいいじゃないか!」と言い放った政則のセリフが私のなかでツボ。鳥は大切だよ。友だちだからね。

そんな怖い思いをしたタダシが、将来、総菜屋を継ぎたいっていうんだからいい話じゃないですか。なかなか言えないよ。

濃いキャラクター、ナンバーワン

もちろん、このシリーズは上戸彩ちゃん演じる鶴本直を中心に話が進んでいくんだけど、私の心をときめかせたナンバーワンの生徒は、ジャジャーン、笠井美由紀なのであります。え?どんな生徒か覚えてない?一番前の右端に座っているクリクリヘアーのちょっと可愛い子。

だって、数学の先生に憧れて想像妊娠までしちゃうんですよ。すごくない?その思いつめ方。15歳の女の子って本当に多感で恐ろしい。今どきの先生って本当に大変だなーって思ったわ。あんまり好かれるのも考えものだわね。熱心もほどほどにしないと、かえって痛い目見るわと数学の先生に同情したわ。

この美由紀は、クラスでどんなもめごとがあろうと知ったこっちゃないって表情をしていて、その無関心さが魅力的だった。ただ、立志式で誓いの言葉を発表する時の、強いまなざし。広げた半紙には「死んでもいい」の達筆な文字…良かったなあ。記憶に残るキャラクターでしたわ。

あとは、平愛梨とかNEWSの加藤シゲアキ(ハセケン)とか、チュウ役の中尾明慶などが出演していて、みんなそれぞれ個性的な役だった。ドラマをしっかり支えていたわ。平愛梨は今の天然キャラぶりが全然想像できない優等生だったね。それとこのシリーズでちょっと驚いたのが、桜中学の優秀生徒が目指す進学校、あの第5シリーズで健次郎が行きそびれた進学校の開栄高校が共学校だったってこと。私はすっかり男子校だと思い込んでいたよ。少子化の波で共学になったのかしら。陽子ちゃんが合格していたね。学校にメイクしてきていたけど、それはおとがめなしだった。何で?甘くない?

それから、もう一つびっくりしたことがある。それは学級委員を演じた本仮屋ユイカの色の黒さ。真っ黒じゃん!眉毛の書き方もなんか初々しくて…。変われば変わるものなのね…とドラマに全く関係ないところで妙に感動してしまったよ。

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心の問題と金八先生

今回のシリーズは、金八の息子の幸作が悪性リンパ腫になってしまい入院することになる。そのため第5シリーズの生徒達もちょくちょくと登場する。金八の生徒達は2人の転校生が来たことから新しい3Bのストーリーがはじまる。1人目はミニスカートやルーズソックスを女子達が競って履いていた当時、80年代のような足首まで長いスカートを履いたナオという少女。実は性同一性障害で、身体は女であり心が男という。二人目はまさのりといい、金八の知人の先生から託された子供だ。まさのりの父親はある少年を刺殺したことから刑務所に服役している。まさのりの姉は少年グループにレイプされてしまい、その少年の1人を父親が殺してしまったということだ。被害者であり、加害者の家族である。難しい立場のまさのりだ。この二人の難しい境遇をいつしか3Bの生徒達は一緒に悩み、一緒に解決していこうとする。ナオは自分を男と認め、心の性別と向かい合って生きて行...この感想を読む

5.05.0
  • まいぴんまいぴん
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