虚しい猟奇殺人inNY
自己改造がライフワークと言っていい男・クリスチャン・ベールが、自らのクイーンズ・イングリッシュを完璧なニューヨーカー、アメリカン・イングリッシュに矯正して挑んだ本作。 ヤッピーのシノギを削るくだらない生活(エステ・名刺の「洗練度」争い・ファッションなどなど…)の裏側で、ひたすら残忍で冷酷な殺人を犯し続けた男の人生が、もちろんそのまま続くはずはなく、ガラガラ崩壊していく話なんですが… ベールは笑っててもどっか怖い、この役にほんとぴったりハマリでした(ほめてるんだけど、ほめていいのか…)。 ディカプリオと主役を競ったそうですが、彼で正解。 そういう、くだらない虚飾の日常と、殺人シーンのハイテンションさとの落差が怖ろしいです。 ともすればスキャンダラスなサスペンスで終わってしまいそうな話ですが、主役の怪演と音楽の選択、後半のプロットなどによって、時代を反映しただけでなく、この後ずっと世界を被っていく「空虚さ」に先鞭をつけた作品になったと思います。
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