アメリカン・サイコの感想一覧
映画「アメリカン・サイコ」についての感想が6件掲載中です。実際に映画を観たレビュアーによる、独自の解釈や深い考察の加わった長文レビューを読んで、作品についての新たな発見や見解を見い出してみてはいかがでしょうか。なお、内容のネタバレや結末が含まれる感想もございますのでご注意ください。
人間の心理がいくつも隠れている
主人公は裕福な家庭に生まれ育ち投資会社の副社長を務めるまさにエリートビジネスマンそのものだ。だが彼には人間らしい自然な振る舞いなどは存在しない。彼の中にあるのはどうしたら人にどう思われるか。ただそれだけで人と同じ事に喜びを感じる人達といる時はその様な心理状態になる事に徹する。主人公自身には人間らしい心理なんて何ひとつないのだ。サイコというタイトルで残酷なシーンを連想してみるにはすこし物足りない感じなのだが人間の本当の意味での冷たさと怖さがこの作品で味わう事ができます。あまり味わいたくない感じのものが心に残ってしまうかもしれませんが、私はこの作品が好きです。
役者がすごい
本当に役の様な人間にしか見えなくてかなり怖かったです。主人公は若くしてエリート企業の副社長、綺麗な婚約者もいたり良い所に住んでいたり、誰もが羨むハンサムな男。でも実はサイコパスで人を殺したい衝動にかられてしまう様な人間。内容的にはそれだけの映画でつまらないと他人が言っていても納得してしまう。ただ本当に役者がすごくてリアルにこういう人がいてもおかしくないんじゃないかな?とまで思ってしまう。作品の中で「中身はどうでも良い」という言葉が出てくるのだが…まさかこの映画の事を言っているのでは?と一瞬耳を疑った。結構ヒットしたみたいですがあまり人にオススメはできない映画でした
妄想か現実か 現代アメリカに潜む狂気
ニューヨークで活躍するエリートビジネスマンの主人公。エクササイズ好きで健康的であり、外見も洗練されていて、物質的にも恵まれている。女性にも人気があるし、生活も充実しているはずがどこか心に空虚を感じている。ある時に抑えきれない衝動で部下を殺してしまい、それから殺人を繰り返していく。それは自己防衛のひとつでもあり、内に潜む残酷な欲望に突き動かされたせいでもあった。おしゃれで、金持ちで、恋人にも困らない主人公なのに、狂った殺人行為に身を染めていくさまには凄みがあります。特に洗練された音楽の趣味を語りながら凶悪殺人を犯していく様には独特の狂気とコミカルささえかんじさせます。現代人の病理と動物的な本能をうまくここまで結実させて物語に仕上げた力量はすごいものがあります。
笑えます!
アメリカン・サイコは一見アメリカの中流以上の階級の人間の心の闇とか、精神を病んでいく恐ろしさみたいなものを描いているようですが、私にはかなり笑える映画でした。クリスチャン・ベールが本当にどうでもいいようなことに一喜一憂している姿や、肉体を鍛えることに異常なまでにこだわっているところ、事の最中に鏡に向かってポーズを決めたり、かなり笑えました。クリスチャン・ベールみたいな超絶まじめそうな人がやるから余計に怖いし面白いです。結構グロい殺人シーンがたくさん出てきてちょっとウヘーッと思いますが、クリスチャン・ベールが全裸でチェーンソーを持って女を追いかけるシーンは主人と二人で爆笑してしまいました。たしかにアメリカン・サイコです。タイトルに偽りなしです。
虚しい猟奇殺人inNY
自己改造がライフワークと言っていい男・クリスチャン・ベールが、自らのクイーンズ・イングリッシュを完璧なニューヨーカー、アメリカン・イングリッシュに矯正して挑んだ本作。ヤッピーのシノギを削るくだらない生活(エステ・名刺の「洗練度」争い・ファッションなどなど…)の裏側で、ひたすら残忍で冷酷な殺人を犯し続けた男の人生が、もちろんそのまま続くはずはなく、ガラガラ崩壊していく話なんですが…ベールは笑っててもどっか怖い、この役にほんとぴったりハマリでした(ほめてるんだけど、ほめていいのか…)。ディカプリオと主役を競ったそうですが、彼で正解。そういう、くだらない虚飾の日常と、殺人シーンのハイテンションさとの落差が怖ろしいです。ともすればスキャンダラスなサスペンスで終わってしまいそうな話ですが、主役の怪演と音楽の選択、後半のプロットなどによって、時代を反映しただけでなく、この後ずっと世界を被っていく「...この感想を読む
エリート商社マンの仮面がはがれる時
誰もが羨望するようなエリート商社マン、趣味はエクササイズ。美容にも気を遣うイケメン。しかしそのうちには酷い殺人衝動を持っていて、時々抑えきれずに人を殺している。表の顔と裏の顔を持つ男をクリスチャン・ベイル氏は見事に演じていると思いました。二つの顔の切り替えは、スイッチが入って全く別人になるというものではなくて、表の顔で普通に生活している中で不意に裏の顔がでてくるというくらい危うい違い。自分でも自分が制御できないと苦悩するシーンが印象的です。クリスチャン・ベイル氏といえばノーラン監督のバットマンシリーズが有名で、そちらも仮面の男が狂気と向き合う物語でしたね。それを思うとまた、この映画も味わい深かったです。